...たいていのことは胸(むね)のうちに処理(しょり)して外に圭角(けいかく)をあらわさない美質(びしつ)を持っている...
伊藤左千夫 「告げ人」
...その所有している稀(まれ)な美質に依って犯されたのです...
太宰治 「人間失格」
...しかも、その美質は、夫のかねてあこがれの、無垢の信頼心というたまらなく可憐(かれん)なものなのでした...
太宰治 「人間失格」
...天稟(てんりん)の美質を宿す松雪院の悲歎と悔恨とを眼の前にしては...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...仮りに歩を譲りて国民の美質を描きたる作にあらずば以て国民的性情を満足せしむるあたはずとせんも...
綱島梁川 「国民性と文学」
...中にも忠君の徳の如きは万国に其の倫(たぐひ)を見ざる国民の美質なりと言ふを得べし...
綱島梁川 「国民性と文学」
...其の清廉潔白なる美質は東京市民の毫も疑はざる所なり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...大欠陥あれども亦大美質あり豈杓子定規を以て彼を酷論す可けむや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...愛す可き大美質とを有するものあるが故に...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...自己の有する美質を...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼は人間としては妻の方が遙かに美質を備へてゐるのではないかと考へ出した...
原民喜 「蠅」
...またその個人的美質のために...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...重厚などという美質は...
矢部貞治 「政治学入門」
...是(これ)等の固有の美質を堅く貯へて持続する婦人の多数を有して居る以上...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...なぜなれば真の貴女(きぢよ)は是(これ)等多数の低級なる而(さ)うして美質に満ちた婦人の間から将来益(ます/\)発生する事を期待するからである...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...必ず真の貴女(きぢよ)は本来の美質に富む是(これ)等多数の婦人から起(おこ)つて来る事を疑ひません...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...頬の紅(くれない)はやや青白く褪(さ)めているが――生れながらの美質はすこしも変らない...
吉川英治 「篝火の女」
...それはまた天麗(てんれい)の美質といってよいほど美しいお方である...
吉川英治 「新書太閤記」
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