...オレンジの花咲く野に通うて羇旅(きりょ)の思いが動くのだろうと思いやった事もある...
寺田寅彦 「イタリア人」
...図らずも羇旅の人となつたが...
永井荷風 「里の今昔」
...秋の菓物杉深き溪を出で行けば草山の羊齒の黄葉に晴れ渡る空鹽谷のや馬飼ふ山の草山ゆ那須野の霧に日のあたる見ゆ(下野鹽原の奥)山梨の市の瀬村は灯ともさず榾火がもとに夜の業すも(多摩川水源地)瓜畑に夜を守るともし風さやり桐の葉とりて包むともし灯黄葉して日に/\散ればなり垂れし庭の梨の木枝の淋しも二荒山いまだ明けねば關本の圃なる梨は露ながらとる羇旅雜咏八月十八日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...羇旅(きりょ)佳興に入るの時汽車人を載せて大磯に帰る...
正岡子規 「旅の旅の旅」
...困窮と病痾(びょうあ)と羇旅(きりょ)との三つの苦艱(くげん)を嘗(な)め尽して...
森鴎外 「護持院原の敵討」
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