...空焚(そらだき)の匂が立ち罩(こ)めた...
芥川龍之介 「好色」
...水の上を罩(こ)めた暮色の中に...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...それ故に女子がその中に打罩(うちこ)められて...
大隈重信 「女子教育の目的」
...戻り来て瀬戸の夏海絵の如し六月十一日 朝六時甲板に立出で楠窓と共に朝靄(あさもや)深く罩(こ)めたる郷里松山近くの島山を指さし語る...
高浜虚子 「五百五十句」
...鼓膜も破れんばかりの響きのうちに獣の断末魔の悲鳴! 濛々たる白煙が立ち罩(こ)めて...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...罩(こ)もった空気を衝(つ)いて彼女の金属性の微風が掠(かす)めたのだ...
谷譲次 「踊る地平線」
...室の中には淋しい影が立罩めていた...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...温気が館内に立ち罩めていた...
豊島与志雄 「生あらば」
...怪しい幻が立ち罩めてるようだった...
豊島与志雄 「二つの途」
...あたりは一面に濃い霧が立ち罩めていた...
豊島与志雄 「未来の天才」
...あの現場に立ち罩めているし...
豊島与志雄 「ものの影」
...晩霞散じて暮烟紫に天地を罩(こ)むるや人家の燈影亦目を慰むるに足る...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...割れたコンクリートの窪(くぼ)みには死の異臭が罩(こも)っていた...
原民喜 「鎮魂歌」
...青白い霧と雲が立ち罩(こ)めてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...やがて黙って宏子の肩を一つ情を罩(こ)めてたたいて出て行った...
「海流」
...灰色の空からまるで小糠(こぬか)のように降り罩(こ)めている梅雨時(つゆどき)の夜明けでした...
蘭郁二郎 「穴」
...それらを罩(こ)めた安白粉(おしろい)の匂いや...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...ちょうどまたその日は程よい霞が麓の平野を罩めていた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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