...灰色のものが罩(こ)めた中で...
芥川龍之介 「芋粥」
...水の上を罩(こ)めた暮色の中に...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...ことに東京の空を罩(こ)める「鳶色(とびいろ)の靄(もや)」などという言葉に...
芥川龍之介 「追憶」
...ワイルドは印象派の生まれぬ前にはロンドンの市街に立ち罩(こ)める...
芥川龍之介 「僻見」
...冬(ふゆ)に暖爐(だんろ)が烟(けぶ)つて炭氣(たんき)に罩(こ)められたものと見(み)える...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...まだ明けやらぬ暁の靄(もや)が薄(うっす)らと立て罩(こ)めている頃であった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...今までもやもやと立罩めていた霧が急に霽れて...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...その海の面に濛々とした霧が低く立ち罩めて...
豊島与志雄 「初秋海浜記」
...至る所に立罩めている...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...深い夜が立ち罩めていた...
豊島与志雄 「反抗」
...平原の上に濃く立ち罩めて来るであろう...
豊島与志雄 「湯元の秋」
...濃き闇は此処をも立罩(たてこ)め候ふが...
永井荷風 「夜あるき」
...谷間に似たこの附近一帯には陰々として怨霊の気が立罩めてゐるのだらうか...
原民喜 「飢ゑ」
...おびただしいガスが帰路一めんに立罩めてゐることもあつた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...ただ濛々(もうもう)と湯気の罩(こ)めた湯槽(ゆぶね)に腰かけて坊主頭の若造と白髪の老人とが...
牧逸馬 「助五郎余罪」
...窓の外に白っぽい霧が濛々と立罩めていた...
松本泰 「日蔭の街」
...夕暮が四方に罩め...
三好達治 「測量船」
...いつの間にかまた眞白に霧が罩めて大粒の雨が降り出してゐた...
若山牧水 「比叡山」
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