...洞穴を罩(こ)めた脂粉(しふん)の気の中(なか)に...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...酒室の呼吸を罩めて...
上里春生 「サガニー耕地より」
...朦々と白い煙の立罩めた中に柱や棟木が重なって倒れ...
内田魯庵 「灰燼十万巻」
...戰つて來た兩手の筋を力を罩めてさすり乍ら...
千家元麿 「自分は見た」
...妖気狭霧(さぎり)のごとくに立ち罩(こ)めて...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...柳麗玉は尊敬を罩(こ)めて見惚れている...
林不忘 「安重根」
...「あらゆる事情」が「たった一個の指輪」に罩(こ)もっていて...
谷譲次 「踊る地平線」
...今日は雨後の澄明な空氣の中に夢の如く淡く薄紫の霞を罩(こ)めて靜かに立つてゐる...
近松秋江 「湖光島影」
...其の夏には夫人の考案になつた浴衣地の見本帳が、夫人の盡力で、同窓の方々を通じて全部愛生園に寄贈される事になり、私達はその美しい布地の中から同じ柄模樣を集めて、病童兒、童女の罩衣や、簡單服を作つた...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...河のねむりをさそうように罩めていた...
徳永保之助 「洪水のように」
...大きな明るみと光の罩(こ)めた深淵とが見えてきて...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...夕暮の仄暗い靄が沼の上に立ち罩めると...
豊島与志雄 「湯元の秋」
...雲と立罩める名聲の只中に...
中島敦 「名人傳」
...割れたコンクリートの窪(くぼ)みには死の異臭が罩(こも)っていた...
原民喜 「鎮魂歌」
...もうもうと立ち罩(こ)めている...
久生十蘭 「犂氏の友情」
...疲(つか)れてきた羽(はね)にバサバサと力(ちから)を罩(こ)めて...
逸見猶吉 「火を喰つた鴉」
...湿気(しめりけ)を持った夜風がしっとりと公園に立罩(こ)めていた...
松本泰 「P丘の殺人事件」
...そして又ワーンと罩(こも)った若い男女の張切った躍動する肢体が...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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