...湯のみにはとうに罅(ひび)が入つてゐる...
芥川龍之介 「わが散文詩」
...猶人と人との間にはこれほどの罅隙(ギヤツプ)があるかと思へば...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...私の頭かどっちかにすこし罅が入ったのではないかを確める可く...
石川欣一 「山を思う」
...芥子(けし)の花が死落(しにお)ち生木(なまき)の棺(くわん)に裂罅(ひび)の入(い)る夏の空気のなやましさ...
石川啄木 「心の姿の研究」
...それも別離の致命傷の罅が……」「そんなことが有ってたまるか」「大いに有りさ...
海野十三 「大脳手術」
...居酒屋の卓に罅(ひび)ができ...
太宰治 「ロマネスク」
...罅のはいった大鏡二つ...
林不忘 「安重根」
...すばやく巧みにシエッペラアクは罅隙(われめ)の上の端から駈け下り...
ロード・ダンセイニ Lord Dunsany 松村みね子訳 「人馬のにひ妻」
...一書には鐘を鋳た後に羊の血をもってその裂罅(れっか)に塗るという意味に使われているそうである...
寺田寅彦 「鐘に釁る」
...熔岩流の末端の裂罅(れっか)から内部の灼熱部(しゃくねつぶ)が隠見する状況の記述にふさわしい...
寺田寅彦 「神話と地球物理学」
...罅の深さ即ち一万分の一ミリ程度の直径の粒子に崩壊して水中に溶け出る...
中谷宇吉郎 「硯と墨」
...ウェーゲナー教授がグリーンランドの氷河の裂罅(クレバス)の中で発見したものである...
中谷宇吉郎 「凍上の話」
...この罅の中に氷が析出して厚みを増し...
中谷宇吉郎 「凍上の話」
...生理学上の美人はさなくとも罅壊(えみわ)れそうな両頬(りょうきょう)をいとど膨脹(ふく)らして...
二葉亭四迷 「浮雲」
...見(み)ともない面(つら)を罅裂(えみわれ)そうに莞爾(にこ)つかせて立ってやがる...
二葉亭四迷 「平凡」
......
堀辰雄 「鳥料理」
...さうして茶碗に罅(ひび)が入るやうな工合に...
堀辰雄 「山日記 その一」
...狂いや罅が一つも見られなかった...
横光利一 「旅愁」
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