...湯のみにはとうに罅(ひび)が入つてゐる...
芥川龍之介 「わが散文詩」
...彼とこの理想を共にせぬ者との間に罅隙が出來た...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...生木(なまき)の棺(ひつぎ)に裂罅(ひび)の入る夏の空気のなやましさ...
石川啄木 「詩」
...岩石に関してはまだ皺襞(しゅうへき)や裂罅(れっか)の週期性が重要な問題になるが...
寺田寅彦 「自然界の縞模様」
...紅海(こうかい)は大陸の裂罅(れっか)だとしいて思ってみても...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...まるで罅(ひび)のはいったかのようであった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...今ではもう大分前から方々に罅(ひび)が入ったり剥げたりして居る...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...心部(しんぶ)を噛(か)まれつゝある木材(もくざい)は赤(あか)い齒(は)を喰(く)ひしばつたやうな無數(むすう)の罅(ひゞ)が火(ひ)と煙(けぶり)とを吐(は)いて居(ゐ)た...
長塚節 「土」
...すぐ罅(ひび)がは入った...
中谷宇吉郎 「九谷焼」
...または発達し過ぎて罅(ひび)が入ったりするので...
中谷宇吉郎 「九谷焼」
...これは墨の磨り口に出来る罅(ひび)の問題と考えられる...
中谷宇吉郎 「硯と墨」
...ここでは焼け失せた空間と焼け残った空間が罅割れた観念のように僕の眼に映る...
原民喜 「夢と人生」
...ピチリと裂罅(ひび)がはひつて...
宮沢賢治 「烏の北斗七星」
...そのうえ二十七年の地震に罅(ひび)が入って鉄のタガ...
山本笑月 「明治世相百話」
...彼は彼の前で水に割られては盛り返す群衆の罅(ひび)を見詰め...
横光利一 「上海」
...いずれこの街は初めから罅(ひび)の入ってる街なんだ...
横光利一 「上海」
...空罅も殘さないやうに...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...あたりの空気は水晶のように罅(ひび)がはいる...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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