...孰れにしても兩者の間にある非常なる罅隙を放置して...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...彼とこの理想を共にせぬ者との間に罅隙が出來た...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...壁体の上には稲妻のような罅(ひび)が斜めにながく走り...
海野十三 「蠅男」
...加ふるに絶崖の罅隙(かげき)を穿(うが)ちて々(だう/\)深潭に落下する一小瀑あり...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...ズレタズラの市がその罅隙(われめ)の中に隠れて夕ぐれの中にひなたぼっこしていた...
ロード・ダンセイニ Lord Dunsany 松村みね子訳 「人馬のにひ妻」
...やはり側面の裂罅からうかがわれる内部の灼熱状態を示唆的にそう言ったものと考えられなくはない...
寺田寅彦 「神話と地球物理学」
...船は珊瑚礁(さんごしょう)の罅隙(かげき)の水道を通って湾に入った...
中島敦 「環礁」
...船は珊瑚礁の罅隙の水道を通つて灣に入つた...
中島敦 「環礁」
...ひつに大(おほ)きな罅(ひゞ)が入(い)つたのである...
長塚節 「土」
...するとまたすぐ罅がは入った...
中谷宇吉郎 「九谷焼」
...ちっとも罅がいらぬようになった...
中谷宇吉郎 「九谷焼」
...罅の深さと同程度の間隔になるくらい...
中谷宇吉郎 「硯と墨」
...そんな所は地盤に裂罅の多い所なんだから...
中谷宇吉郎 「先生を囲る話」
...砂が崩れる時に出来た罅は...
中谷宇吉郎 「寺田先生の追憶」
...凍結線の下の軟い土に罅がはいっていたことは...
中谷宇吉郎 「凍上の話」
...せめて罅(ひび)でも入らしてやろうと――やらないまでも時々思うのは...
夏目漱石 「坑夫」
...驚くほど高い地殻の罅隙(たぶん噴火口であろうと思われる)からくる黄昏のようなおぼろ気な光がぼんやりと遍満(へんまん)している...
久生十蘭 「地底獣国」
...いずれこの街は初めから罅(ひび)の入ってる街なんだ...
横光利一 「上海」
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