...ここに十巻の全集が世に贈られることは癒されざる慰めの纔かな慰めである...
青柳喜兵衛 「夢の如く出現した彼」
...纔(わづ)かに追ひ纔かに邀へば...
佐藤一齋・秋月種樹(古香) 山田濟齋訳 「南洲手抄言志録」
...纔かに彼の知つた上流階級の青年には...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...――それもこれも今は纔かに...
石川啄木 「赤痢」
...纔かに膝頭に届いて居る短いお納戸(なんど)の裳裾(もすそ)の下は...
谷崎潤一郎 「少年」
...私は纔かに残つてゐる封建時代の石垣のところに来て...
田山録弥 「あさぢ沼」
...滑り込むやうにして纔かにその傍に行つた...
田山花袋 「道綱の母」
...さうして纔かに生活をして居つたので...
内藤湖南 「近代支那の文化生活」
...纔かの目じるしで...
原民喜 「廃墟から」
...その底に錆びついた斑点が纔かに残されてゐる...
原民喜 「真夏日の散歩」
...ノートに易へて纔かに目的を達し得た...
二葉亭四迷 「旅日記」
...その磨滅した石の上に指先きでもつて纔かにその婦人の名前と年齡とを認めるのである...
堀辰雄 「或外國の公園で」
...それも纔かにしか垣間見られないやうになつてくるのである...
堀辰雄 「一插話」
...母親の纔かな安堵があった...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...山は薄闇の裾をひいて仄明るい頂きに纔か雪のかつぎをつけていた...
矢田津世子 「茶粥の記」
...温厚な同君は纔かに微笑して...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...彼等が眠るには纔かな空氣しかいらなかつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...斷えず取り殘されて――纔かにそれ等の波から脱れた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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