...この混沌たる暗黒時代に一縷の光明を与ふるものは僕等の先達並びに民間の学者の纔(わづ)かに燈心を加へ来れる二千年来の常夜燈あるのみ...
芥川龍之介 「文部省の仮名遣改定案について」
...纔(わず)かに源太夫が「聞書」の前半に過ぎないのである...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...纔(わず)かに森の辺から両側の田圃(たんぼ)が...
谷崎潤一郎 「細雪」
...旅亭の古看板の幾年月の塵埃(ちりほこり)に黒みて纔(わづ)かに軒に認めらるゝ...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...石に凭(よ)りて纔(わづ)かにこれを窺ふ...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...降しきる雨を纔かに凌ぎながら...
田山花袋 「道綱の母」
...今は纔に自分が首席であるといふことだけがせめてもの慰めであつた...
中勘助 「銀の匙」
...孔子の適切な判断と指揮とによって纔(わず)かに事無きを得た...
中島敦 「弟子」
...病に因って纔(わず)かに享(う)けえたこの長閑(のどか)な心持を早くも失わんとしつつある...
夏目漱石 「思い出す事など」
...ドユパンは纔に口を開いて...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「病院横町の殺人犯」
...それより尚廿有余年を経た大正震災前の吉原の朝暮纔に大学校の月謝などを未納にしては耽溺してゐた一個...
正岡容 「東京万花鏡」
...在留の邦人纔に三人...
南方熊楠 「秘魯國に漂著せる日本人」
...纔斟椒酒意和融...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...崇文盛化(そうぶんせいくわ)の余沢(よたく)は方(まさ)に纔(わづか)に社会に被及(ひきふ)するであらう...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...世間の女が多くの男に触れた後(のち)に纔(わず)かに贏(か)ち得る冷静な心と同じような心になった...
森鴎外 「雁」
...纔(わずか)に表医者(おもていしゃ)介(すけ)を命ぜられて...
森鴎外 「渋江抽斎」
...纔(わづ)かに世界の進化を翼成(よくせい)してゐる...
森鴎外 「妄想」
...纔に彼等の幼稚な美的意識が窺はれる位のものである...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??