...ここに十巻の全集が世に贈られることは癒されざる慰めの纔かな慰めである...
青柳喜兵衛 「夢の如く出現した彼」
...大(おおき)さ纔(わずか)に二間四方許(ばかり)の小堂なり...
泉鏡花 「一景話題」
...―――半眼に閉じた眼を纔(わず)かに開けることさえもせず...
谷崎潤一郎 「客ぎらい」
...纔(わず)かに首だけが水面から出ている程度であった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...学院の門は殆(ほとん)ど埋没して纔(わず)かに門柱の頭が少しばかり地面に露出しているに過ぎず...
谷崎潤一郎 「細雪」
...滑り込むやうにして纔かにその傍に行つた...
田山花袋 「道綱の母」
...今は纔に自分が首席であるといふことだけがせめてもの慰めであつた...
中勘助 「銀の匙」
...諸方より依頼の短冊に揮毫し纔に責を果す...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...その磨滅した石の上に指先きでもつて纔かにその婦人の名前と年齡とを認めるのである...
堀辰雄 「或外國の公園で」
...纔(わず)かに悶を遣(や)っていた...
堀辰雄 「ほととぎす」
...纔に後世再建のものが傍らにさらに建立されてゐたことを記憶してゐる...
正岡容 「下谷練塀小路」
...この文車程度では纔に芸達者と云ふ程度にしか認められなかつたのであらう...
正岡容 「下谷練塀小路」
...「ともすれば時勢の旋渦中に巻き込まれようとして纔(わずか)に免れ」「辺務を談ぜないということを書いて二階に張り出し」たりした安井息軒の生きかたをそのままに眺めている鴎外の眼も...
宮本百合子 「鴎外・漱石・藤村など」
...此年十三年の秋方(まさ)に纔に王子金輪寺を訪うたのである...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...遺構纔未...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...枳園は申の刻に至つて纔(わづか)に至り...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...会社は逓信省へ一年纔(わづか)に七千六百フラン(三百十四円)の請負料を納める丈(だけ)で其他(そのた)の小包料は一切会社の所得である...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...纔入城門身忽亡...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
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