...纔(わずか)に温まった懐をおさえて...
青柳喜兵衛 「夢の如く出現した彼」
...――それもこれも今は纔かに...
石川啄木 「赤痢」
...凱陣の士卒が纔(わず)かに休養する暇もなく...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...ぽつりと一点水に油を滴(た)らしたような纔(わず)かな明りの圏(けん)の裡(うち)に...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...旅亭の古看板の幾年月の塵埃(ちりほこり)に黒みて纔(わづ)かに軒に認めらるゝ...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...石に凭(よ)りて纔(わづ)かにこれを窺ふ...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...私は纔かに残つてゐる封建時代の石垣のところに来て...
田山録弥 「あさぢ沼」
...戦災まで営業をつづけてゐたものは纔に永花聞楽の二軒のみだつたといふ...
正岡容 「東京万花鏡」
...この時の俳諧界は曙光纔(わずか)に上りて万物始めて弁ずべきが如し...
正岡子規 「古池の句の弁」
...松永は纔(わづか)四里許の所也...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...江は文化十四年に至つて纔(わづか)に来航したこととなるのである...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...塾生等は驚き謝して纔(わづか)に井口の怒を解くことを得た...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...榛軒纔(わづか)に悟つて徐(しづか)に涎衣を解いて懐にし...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...旅装纔挈一瓢行...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...2090いかにして猶(なお)纔(わずか)に維持せらるゝぞ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...その行為が資本家の行為と纔(わず)かに五十歩百歩の差を以て利己的行為たるを免れないことに赤面せねばならないでしょう...
与謝野晶子 「階級闘争の彼方へ」
...一般に馬来(マレイ)全島が非常な低地であつて最高の山が纔(わづか)に海抜五百十九尺しか無いのだから...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...ドリルが「先年瑞西(スヰス)のベルンの旅先で偶然マネの絵の掘出物(ほりだしもの)をして纔(わづか)四十フランで買つて来たが...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
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