...幾百本とも判らぬ幹が總立に一纏りになつてゐるから...
伊藤左千夫 「八幡の森」
...東京の秋景色は荒寥としてゐて眼に纏りがない...
近松秋江 「伊賀、伊勢路」
...そして纏りのつきかねるものであった...
寺田寅彦 「小さな出来事」
...何とかかとか纏りを附け度がる弊風がある...
土井晩翠 「新詩發生時代の思ひ出」
...クリティシズムという一つのイズム(主義か精神か一纏りの現象かをイズムという)を形成するための心棒は必ずあるので...
戸坂潤 「クリティシズムと認識論との関係」
...批評という一纏りの現象や活動が普通云うクリティシズムである...
戸坂潤 「クリティシズムと認識論との関係」
...哲学なり科学なりという何かの纏りを持った知識を内容としている...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...纏りが悪るかった罪はブルジョア哲学のアナーキーに帰着するのであって...
戸坂潤 「思想としての文学」
...もはや議論は纏りっこはないので...
戸坂潤 「思想としての文学」
...私は先刻から薄い霧のように私の頭に纏り...
外村繁 「澪標」
...表向から駈落となると双方の仲へ人が立つて纏りがつくといふのが一般の順序であるが...
長塚節 「芋掘り」
...僕のまはりを通りこす人々はまるで纏りのない僕の念想のやうだ...
原民喜 「鎮魂歌」
...せっかく纏りかけた縁談をぶち毀(こわ)されないものでもないと思って...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...この方は作品としての纏りのいゝ事が...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...この話は何んとか纏りを付けねば...
矢田津世子 「凍雲」
...この良人を離縁して来た夫人の周囲に纏りついていて...
横光利一 「旅愁」
...ほのかに白い煙が島のいただきに纏り着いている...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...見廻すとまったく山蔭の渓端に小ぢんまりと纏り着いた様な温泉場であった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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