...漁史は、手応の案外強きに呆れ、多少危懼せざるに非ざれども、手繰るに従いて、徐々(しずしず)相近づくにぞ、手を濡らしつつ、風強き日の、十枚紙鳶(だこ)など手繰る如く、漸く引き寄す...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...糸を繰る音が聞えるだろうか...
泉鏡花 「活人形」
...露店の三世相を繰るとなると...
泉鏡花 「婦系図」
...電話帳を繰る手を休め...
海野十三 「空中漂流一週間」
...私は、枕草紙の、ペエジを繰る...
太宰治 「めくら草紙」
...空間のこういう弁証法的な触手を手繰ることによって初めて...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...おしいただいてからページを繰るのであった...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...「この上は医者の北村道作の方を手繰るの外はあるまいよ」平次は休む隙(ひま)もなく八五郎と一緒に弓町まで出かけました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
......
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...私はペエジを繰る手先が震えて...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...合唱の群糸を繰るパルチェエの中の一番貴いあなた...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...そんなに多くもない楽譜をパラパラ繰る)あ...
森本薫 「みごとな女」
...綿を繰る家というのであったかと思う...
柳田国男 「故郷七十年」
...手荒く雨戸を繰る音や...
山本周五郎 「柳橋物語」
...煤けた板戸の向ふでぶん/\絲を繰る手車の音が聞こえてゐた...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
...蠶のやうに手繰ると糸になつて出て來る...
吉川英治 「折々の記」
...長い絵巻を繰るように思い出されて来た...
吉川英治 「新書太閤記」
...当夜の華燭(かしょく)から七日七夜にもわたる招宴や賀車(がしゃ)の往来の生きた絵巻を繰るにも勝(まさ)る典雅婉麗(てんがえんれい)な盛事(せいじ)は...
吉川英治 「親鸞」
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