...これから奮鬪するのだと思ふと雨戸を繰る手に力が溢れるやうであつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...こちらはどの家にもこの家にも糸を繰る音と機を織る音とがひっきりなしに聞こえる...
田山花袋 「田舎教師」
...雷鳴の音の波の振幅は多くの場合に耳の近くで雨戸を繰る音に比べて大きなものではないのに雷の音は著しく大きいと考えるのはやはり直接の感官を無視して音響の強度の距離と共に感ずる物理的方則を標準としているのである...
寺田寅彦 「物理学と感覚」
...この将校の顔から髪から髯(ひげ)からページを繰る手つきから...
寺田寅彦 「丸善と三越」
...それだけ手繰るには不便であった...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...追想おのづから縷々(るる)として糸を繰るが如し...
永井荷風 「礫川※[#「彳+淌のつくり」、第3水準1-84-33]※[#「彳+羊」、第3水準1-84-32]記」
...二十尋も三十尋も手繰るんだからな...
長塚節 「土浦の川口」
...糸を繰る手はやめなかったが...
長谷川時雨 「糸繰沼」
...僕は今にも切れさうな糸を繰るやうな気持で...
原民喜 「飢ゑ」
...ガラリと雨戸を繰ると...
二葉亭四迷 「平凡」
...阿弥陀仏と唱えて数珠(じゅず)の緒を繰ることをした...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...時間を繰ると、九時三十分の直行がある...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...若い衆達は髪の青葉を引っ手繰るし...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...まるで巫女(みこ)の託宣集でも繰るようにめくりさえすれば...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...頁(ページ)を繰るが...
山本周五郎 「青べか物語」
...一冊ずつを繰る指先は慄えていた...
山本禾太郎 「仙人掌の花」
......
横瀬夜雨 「べつ甲蜂」
...当夜の華燭(かしょく)から七日七夜にもわたる招宴や賀車(がしゃ)の往来の生きた絵巻を繰るにも勝(まさ)る典雅婉麗(てんがえんれい)な盛事(せいじ)は...
吉川英治 「親鸞」
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