...田川博士(はかせ)はこのとっさの気まずい場面を繕うため何か言葉を入れてその不愉快な緊張をゆるめようとするらしかったが...
有島武郎 「或る女」
...網の破れを繕ううちも...
泉鏡花 「海異記」
...すべては世間体を取り繕う...
伊藤野枝 「転機」
...一体どんなものじゃ」父親は網のほころびを繕う手を少しも休めないで...
海野十三 「火星兵団」
...意の意識的訓練によってその欠陥を補い繕うことであるが...
丘浅次郎 「人間生活の矛盾」
...その孔を具合よく繕うた...
ロバート・ルイス・スティーヴンソン 佐藤緑葉訳 「醫師と旅行鞄の話」
...越した先の家の破損を繕う...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...小さい靴下を繕うことのように母様は実にお手に入ったものであった...
竹久夢二 「少年・春」
...鼻緒の切れた時に手軽に繕うことの出来る革の仕掛紐(しかけひも)をいただいて...
太宰治 「斜陽」
...どうしてそんなに言い繕うのですか...
太宰治 「新ハムレット」
...吾人の残務はただそこかしこの小さい穴を繕うに過ぎぬと考えればプランクの説はもっともと思われる...
寺田寅彦 「物理学と感覚」
...お待ちなさい」としきりにあなたを縫いこなたを繕う...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...この人だなと思って文枝さんがとり繕うように紹介するあいだにひとわたり見る...
中勘助 「結婚」
...後からその場を取り繕う様に...
夏目漱石 「それから」
...垣根を繕うたっていくらかかるものかね...
夏目漱石 「明暗」
...戸(と)の破れ屋根の漏(も)りを繕うまで当前(あたりまえ)の仕事で...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...上手(じょうず)な嘘(うそ)で繕うことはできない性質であったから...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...霊魂を繕うことは稀である...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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