...壁に釘をうつ美しい夫人の繊手(せんしゅ)を見上げながら声をかけた...
海野十三 「宇宙尖兵」
...春琴の繊手(せんしゅ)が佶屈(きっくつ)した老梅の幹をしきりに撫(な)で廻す様子を見るや「ああ梅の樹(き)が羨(うらやま)しい」と一幇間が奇声(きせい)を発したすると今一人の幇間が春琴の前に立ち塞(ふさ)がり「わたい梅の樹だっせ」と道化(どうけ)た恰好(かっこう)をして疎影横斜(そえいおうしゃ)の態(てい)を為(な)したので一同がどっと笑い崩(くず)れた...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...盃(さかずき)持つ妓女(ぎじょ)が繊手(せんしゅ)は女学生が体操仕込の腕力なければ...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...八重日々(にちにち)菜園に出で繊手(せんしゅ)よくこれを摘(つ)み調味してわが日頃好みて集めたる器(うつわ)に盛りぬ...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...繊手は蔓草(つるくさ)のように父親の身体(からだ)に縋(すが)り付いて...
野村胡堂 「悪人の娘」
...お前は?」捜り寄る姫の繊手が...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...私は口惜しい」お栄の繊手が八五郎の首に絡むと...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鉄のように堅く冷たい重い壁を繊手(せんしゅ)をのべて打叩(うちたた)いて見た...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...ジヤニイノ髪を繊手にて撫(な)でる...
ホーフマンスタール Hugo von Hofmannsthal 木下杢太郎訳 「チチアンの死」
...どのような籠絡(ろうらく)の繊手(せんしゅ)を伸ばしつつあるかをさえ耳にしているのである...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...繊手(せんしゅ)のかがやきは貝ノ馬介のむねに...
室生犀星 「舌を噛み切った女」
...青葉を繊手でぎ落とすように鮮に出ている句だと矢代は感じた...
横光利一 「旅愁」
...まんまと繊手(せんしゅ)の術中におとされた深見重左は...
吉川英治 「剣難女難」
...真白な繊手(せんしゅ)へ...
吉川英治 「三国志」
...彼女たちの繊手(せんしゅ)にかかると手も足も出ない有様を見て高時がよろこぶとこから...
吉川英治 「私本太平記」
...あなたはその美しい繊手(せんしゅ)で...
吉川英治 「新・水滸伝」
...そしてうかとすればすぐ繊手(せんしゅ)の二刀が斬りこんでくる...
吉川英治 「新・水滸伝」
...その背部には光る刃を持った繊手(せんしゅ)が静かに静かに振り上げられて行く...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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