...……生産業と種々の物産の交換地帯は相互に入り込み、互に縺れ合ひ、互に重なり合つてゐる...
石川三四郎 「社会的分業論」
...篠懸(すゞかけ)の葉は翼(つばさ)撃(う)たれし鳥に似て次々に黒く縺れて浚はれゆく...
伊東静雄 「詩集夏花」
...縺れぬばかりに田圃路を歩きなすった...
江見水蔭 「死剣と生縄」
...大小の猫が縺れ狂っているとかしか思われなかった...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「黒猫十三」
...風に縺れる姿が何ともいへず美しかつた...
薄田泣菫 「独楽園」
...しなしなと互に揺れ縺れしてゐる...
薄田泣菫 「独楽園」
...魚は仲間同士で抱きあつたり縺れあつたりするやうに水をびちや/\と云はして体を搦ましあつた...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...さうして、お互に芝居の方へ気を取られて居ながら、精神のお留守になつた肉体同士が、狭い暗い羽目板の蔭で、僅かの隙を求めては少しでも前へ出ようと藻掻き合ひ、縺れ合ひつゝ、犬のぢやれるやうに盲動して居た...
谷崎潤一郎 「Dream Tales」
...枝話しの色々な縺れから実際的な詳細を拾い上げるのが商売であった...
チェスタートン 直木三十五訳 「金の十字架の呪い」
...縺れた頭をして、胸のあたりをたばけ、真っ赤な手で洗濯の水をザブザブとあたりに跳ねかしながら、彼女は大声で長屋の連中と話をするようになった...
――モウパンサン―― 辻潤訳 「頸飾り」
...舌の少し縺れかゝつた彼女の話が...
徳田秋聲 「草いきれ」
...最初のひと言で舌が縺れてしまうだろう...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...どんなに髮が縺れてゐても痛くも何とも無かつた...
新渡戸稻造 「教育の目的」
...みんな妾が惡いのだから』婀娜(なまめ)かしい襦袢の袖が縺れて...
萩原朔太郎 「二十三夜」
...六月の海は、銀の粉を吹いて、縺れた樹の色が、シンセンな匂いをクンクンさせていた...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...そこで二人のあげつらひは急激に縺れて行った...
原民喜 「残雪」
...既にこの縺れ合う太古の謎の中に侵入しているのにも拘らず...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...拍手の音が、ようやく静まって来るとブランコの上の、二つの肉体は、縺(もつ)れ合うように極めて徐々に注意深く動いていたが、すぐその縺れが、解けたのを見ると、葉子は、脚でブランコの綱をからんで、垂下り、そのほの白い手の先きには黒吉が、足を吊されて伸び伸びと、ぶら下っていた...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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