...女はそれが手提袋を縫うのに寸が足りないと知ったら...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...二三の木立を縫うて歩くうちふと一點の赤い沈んだ灯火を見た...
高濱虚子 「續俳諧師」
...」と越後獅子はスリッパを縫う手を休めて言った...
太宰治 「十五年間」
...彼は松原に沿うた櫟林(くぬぎばやし)の中を縫うている小路(こみち)を抜けて往った...
田中貢太郎 「蟇の血」
...しかも自分で縫う事はせず...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...私は、森の中を縫う、荒れ果てた小径(こみち)を、あてもなく彷徨(さまよ)い歩く...
寺田寅彦 「秋の歌」
...そろそろ青葉の縁(ふち)を樺に染めかけた大きな樹(かしはのき)の間を縫うて...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...それらの間を縫うて行けば...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...夜中に落ちつき払って物を縫うているのは――その時...
中里介山 「大菩薩峠」
...規則正しく排列された人間の間を一直線に縫うがごとくに下りて...
夏目漱石 「野分」
...それからお寺と墓所を縫うように...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二人は進んで縫うことを手伝ってくれた...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...巻絹は裁(た)ち縫うて衣裳にすれども耗(へ)らず...
南方熊楠 「十二支考」
...紡ぐことも、織ることも、縫うことも、奴隷がした...
宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
...だんだん手さぐりで縫うよりしかたがないようになった...
宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
...道も細い杣道(そまみち)が一すじ縫うているに過ぎないからだ...
吉川英治 「新書太閤記」
...道は楊柳を縫うて隠れ...
吉川英治 「新・水滸伝」
...そこを縫う道に多少のゆるい登りや降りがあるだけである...
吉川英治 「宮本武蔵」
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