...その間を縫うて、二人はそこはかとなく逍遙(さまよ)うた...
石川啄木 「鳥影」
...暗を縫うて見え隱れに螢が流れる...
石川啄木 「鳥影」
...シナに着けばまた必ず一村一村を縫うて元の所に帰って行く...
高楠順次郎 「東洋文化史における仏教の地位」
...その間を縫うようにして二人は歩いた...
田山花袋 「田舎教師」
...不幸なるラート教授が陋巷(ろうこう)の闇(やみ)を縫うてとぼとぼ歩く場面でどことなく聞こえて来る汽笛だかなんだかわからぬ妙な音もやはりそういう意味で使われたものであろう...
寺田寅彦 「映画芸術」
...椰子(やし)の木の森の中を縫う紅殻色(べんがらいろ)の大道に馬車を走らせた時の名状のできない心持ちだけは今でもありあり胸に浮かんで来るが...
寺田寅彦 「病室の花」
...」「私だって靴縫うのよ...
徳田秋声 「縮図」
...間もなく白鬚も後にして諸会社から吐き出された職工達の芋を洗うようにこみ合う中を縫うて進んだ...
富田木歩 「小さな旅」
...突然わたしが此の油画を思い起したのは木の葉を縫う夏の日光の真白き卓布の面に落ちかかる色彩の妙味の為めではない...
永井荷風 「砂糖」
...物蔭を縫うように飛びます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...昨日と明日の継ぎ目を縫うことだと...
久生十蘭 「肌色の月」
...たらたらする油ながしの雫(しずく)は棹の裏を縫うて...
室生犀星 「みずうみ」
...堤(つつみ)の外などの人に逢(あ)わぬところを縫うている故に...
柳田国男 「山の人生」
...これで生き甲斐(がい)があるのでしょうか」弥生は縫う手を休めてびっくりしたように妹の顔を見た...
山本周五郎 「日本婦道記」
...春着を縫う糸なんかも……」もの言うたびに...
吉川英治 「江戸三国志」
...それを縫う十余条の道あるのみゆえ...
吉川英治 「三国志」
...道も細い杣道(そまみち)が一すじ縫うているに過ぎないからだ...
吉川英治 「新書太閤記」
...遠く眼にも見えず麓を縫うて流れてゐる溪川の音を聞く時に...
若山牧水 「樹木とその葉」
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