...母が縫いて与えられし腹帯と見ゆる鬱金(うこん)木綿の胴巻に入れて膚にしっかと着けたり...
饗庭篁村 「良夜」
...九底光りのする雲母色(きららいろ)の雨雲が縫い目なしにどんよりと重く空いっぱいにはだかって...
有島武郎 「或る女」
...それでも縫い進みました...
ストリンドベルヒ August Strindberg 有島武郎訳 「真夏の夢」
...カクテル・グラスの形を縫いだして...
海野十三 「ネオン横丁殺人事件」
...お伽噺(とぎばなし)の「一寸法師」は縫い針を刀にして...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...鞄に縫いつけられた厚紙には...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...わずかに服の端の縫い取りの名にそれと確かめ...
永井隆 「長崎の鐘」
...人に頼んで被布式に縫い直し...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...運命は大島(おおしま)の表と秩父(ちちぶ)の裏とを縫い合せる...
夏目漱石 「野分」
...ひとつ縫いつけてみておくれ...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...左右には華美でない紋を配した麻布を縫い込んだ簾...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...甘橿(あまがし)の丘(おか)の縁を縫いながら...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...せっせと「千人縫い」をやって支配階級の大量的殺人を援助し...
宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
...前衿の縫い目が切れてぱくぱくしている...
山本周五郎 「半之助祝言」
...お母様のような縫い針やお洗濯が一つも出来ず...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...持主の頭文字(イニシアル)は初めから縫い付けてないらしく引き剥がした痕跡もない...
夢野久作 「暗黒公使」
...下腹部から順次に咽頭部まで縫い上げて行きました……が……その間に於ける刀(メス)の揮(ふる)い方の思い切って残忍痛烈なこと……その針と...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...山を縫い村落をつなぐ北国街道も一すじの帯のように眼で辿(たど)れる...
吉川英治 「新書太閤記」
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