...親の手に縋る事なしに河沿の途を遠く/\行く術を知らぬ子供のアスピレーシヨンは運命の反語である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...併し寄り縋る者に對する俺の愛は俺の全身を擧げて期待し追求してゐる一大事に對しては...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...何か縋るものを見出したいそんな心の彷徨(ほうこう)のひとつの現われでもあったに違いないから...
高見順 「如何なる星の下に」
...いくらいやでも今はこの自分に縋るより他に何うしやうもないだらう? ざまを見ろ!」こんな風に女に対し勝利の念に燃えることがあつたが...
田山録弥 「山間の旅舎」
...「どうか又御心配下さるように……この上御心配かけては申訳がありませんけれど」と芳子は縋るようにして顔を赧(あから)めた...
田山花袋 「蒲団」
...親の手から背の君へ! その背の君もその身ひとりが縋ることの出來る人ならば...
田山花袋 「道綱の母」
...あの惨めな縋るような表情になった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...外へ出てしまいましょう」「何も怖がることはないというのに」与兵衛はかえってお玉の縋るのを突き放すように先へ出て...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼は音楽の調べにとり縋るように...
原民喜 「遥かな旅」
...生きてゐたの」と嫂は廿日市から自転車でその甥の無事だつたことを報らせに来てくれた長兄にとり縋るやうにして泣き狂つた...
原民喜 「星のわななき」
...鍛冶屋は縋るやうに言つた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...藁に縋るやうな自分の眼は執拗にあれに惑かされた...
牧野信一 「冬の風鈴」
...目かくしをして飛び降りても縋るべき木々の枝を間違へる筈はあるまい...
牧野信一 「籔のほとり」
...」と女はとり縋るやうな上眼をして言つた...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...あんただけがたのみよ」おせんはとり縋るような気持でそう呟いた...
山本周五郎 「柳橋物語」
...幸子はより縋るようにして泣いた...
横光利一 「旅愁」
...縋ることすら出來ない...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...いやでも俺の袖に縋るより外はないのだ...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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