...親の手に縋る事なしに河沿の途を遠く/\行く術を知らぬ子供のアスピレーシヨンは運命の反語である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...この気の弱い青年には縋るものが無かったので...
海野十三 「白蛇の死」
...縋るべき人には他にも澤山にさういふ人達がゐて...
田山花袋 「道綱の母」
...散歩の帰りに彼の袂に縋ることがあっても...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...外へ出てしまいましょう」「何も怖がることはないというのに」与兵衛はかえってお玉の縋るのを突き放すように先へ出て...
中里介山 「大菩薩峠」
...さらば」二人の縋るに任せたまま...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...――辱(かたじ)けないぞ」内匠は格子に縋るやうに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...藁にもとり縋る気持で...
原民喜 「火の踵」
...生きてゐたの」と嫂は廿日市から自転車でその甥の無事だつたことを報らせに来てくれた長兄にとり縋るやうにして泣き狂つた...
原民喜 「星のわななき」
...取り縋るやうに可細い声を挙げて...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...やがて顔を歪めて私に取り縋るに違ひないのだ...
牧野信一 「くもり日つゞき」
...」照子は慌てて追ひ縋ると彼の片腕をしつかりと抱へ込むだ...
牧野信一 「公園へ行く道」
...藁に縋るやうな自分の眼は執拗にあれに惑かされた...
牧野信一 「冬の風鈴」
...玩具の玉転板に障碍の釘が打つてあるやうに順次に彼が飛び縋る木々がジクザクに選まれてゐた...
牧野信一 「籔のほとり」
...目かくしをして飛び降りても縋るべき木々の枝を間違へる筈はあるまい...
牧野信一 「籔のほとり」
...ただ大慈大悲の御心に縋るより途は無い...
室生犀星 「愛の詩集」
...」と女はとり縋るやうな上眼をして言つた...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...幸子はより縋るようにして泣いた...
横光利一 「旅愁」
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