...土質の悪い畑地の中を緩やかに逶(うね)つて東に向つてゐた...
石川啄木 「道」
...幾んど勾配なき迄に流れ緩やかにして...
大町桂月 「十和田湖」
...またある時は緩やかに...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...極めて緩やかに揺れていた...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...その「煙のビスケット」が生物のように緩やかに揺曳(ようえい)していると思うと真中の処が慈姑(くわい)の芽のような形に持上がってやがてきりきりと竜巻のように巻き上がる...
寺田寅彦 「喫煙四十年」
...ホームズは緩やかに眼を開き...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「ボヘミアの醜聞」
...十羽ばかりの雁が緩やかに往来してゐる...
永井荷風 「上野」
...破砕された岩砂の緩やかに波打つ峯頭へ身を投げ出す...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...緩やかに波打つ山の姿に...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...」――「我々の目の前に一瞬間形づくられる彫像のごとくに、夫が、その妻を見つめようともしないでその前を通り過ぎようとする刹那、その愛する者の肩の上に置いた手のなかの何といふ優美さ! そして繪入新聞の中に見かけらるるごときかかる悲哀の俗な動作も、それが緩やかに、注意ぶかく、演ぜられるとき、何んとそれは深い意味をもつことだらう!」クロオデルはかくのごとく能の美しさを説きすすみながら、更らにかかる能の歴史、謠曲の文學的性質、さては能の衣裳、面、扇などにまで獨自の見解を加へてゐる...
堀辰雄 「クロオデルの「能」」
...もう一度緩やかに...
牧野信一 「ゼーロン」
...そんな書物を知らずに開けて見るとバリバリと音がして幾つもの仔虫が転がり出て来てそれを見ていると体を緩やかに蠢動(しゅんどう)させて居り...
牧野富太郎 「植物記」
...緩やかに読むことが大切である...
三木清 「如何に読書すべきか」
...自分で写本して読んだ昔の人には緩やかに読むという善い習慣があった...
三木清 「如何に読書すべきか」
...彼等の書物を味うために我々もまた緩やかに読まねばならず...
三木清 「如何に読書すべきか」
...緩やかに捜(さが)してゆけば同じ例は増加し得る...
柳田国男 「海上の道」
...もう滿一日緩やかに滑つて行つた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...「へい」「ちょっと、その辺の岸へつけて、暫時、陸(おか)へ外(はず)していてくれないか」黙々と、そして緩やかに、艪をうごかしていた船頭は、頬冠(ほおかむ)りをした手拭の耳に、ひらひらと風をうけながら、「あっしに、陸へ上がっていろというんですか」と、訊き直した...
吉川英治 「治郎吉格子」
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