...精神の一張一緩ももとより混乱を免れない...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...緩(ゆる)く働(はたら)く力(ちから)に對(たい)してしぶとく抵抗(ていこう)しないので...
今村明恒 「地震の話」
...もっと緩慢(かんまん)なる麻痺性のものでないといけぬ...
海野十三 「毒瓦斯発明官」
...秋森家の表を緩やかな弧を描いて北側へカーブしている一本道の六間道路は...
大阪圭吉 「石塀幽霊」
...そして後(あと)で緩(ゆつ)くり考へてみると...
薄田泣菫 「茶話」
...故の如く懈緩の儀有る可からざるの趣...
太宰治 「右大臣実朝」
...風のない空気の緩んだ街頭はひっそりとして...
田中貢太郎 「青い紐」
...どうやらその反美濃部主義を緩和することに「政治的」(!)興味を覚えて来たのではないか...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...「緩慢(かんまん)なる人生の旅行者」と兄を評した彼は...
夏目漱石 「明暗」
...緩(ゆっ)くり寛(くつ)ろいだ話をして帰った...
夏目漱石 「門」
...寺を出ると左手のイサライツの山の緩い斜面には正午に近い陽光が一面に降り注いで...
野上豐一郎 「聖ロヨラ」
...鼻緒(はなを)も緩(ゆる)くなつて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...此処からずっとその別荘の裏側まで緩く屈折しながら心もち下りになっていた...
堀辰雄 「菜穂子」
...鞘をとるまでの動作は緩慢だったが...
山本周五郎 「若き日の摂津守」
...その水勢の浸蝕力は横に第三紀層の緩斜層を突き崩して拡つた...
横光利一 「静かなる羅列」
...船はゐながらで緩かに搖れて...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...それだけ女性の生活意志が緩漫だつたといへる...
吉川英治 「折々の記」
...彼に一日の退屈も心の弛緩(しかん)もゆるさなかった...
吉川英治 「私本太平記」
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