...その大事とは製造事業に關する弟と從兄弟との衝突で――弟は義雄の代理として金錢上の締めくくりをしなければならないが...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...爺さんは革の財布を握り締めながら...
薄田泣菫 「茶話」
...さらに東京市では思想取締りの専任視学を置くことにした...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...荒布(あらぬの)の前掛を締めた荷揚の人足が水に臨んだ倉の戸口に蹲踞(しゃが)んで凉んでいると...
永井荷風 「夏の町」
...もう一寸の隙間もなく締めきって...
中里介山 「大菩薩峠」
...他の物をがっちりと抱き締めました...
中里介山 「大菩薩峠」
...母親は紅殻色の格子を締めた!青い瞳1 夏の朝かなしい心に夜が明けた...
中原中也 「在りし日の歌」
...戸はいつの間にか締(しま)って...
夏目漱石 「永日小品」
...すると奥の方が一面に薄明るく――明るくと云うが、締りのない、取り留めのつかない、微(かすか)な灯(ひ)を無理に広い間(ま)へ使って、引っ張り足りないから、せっかくの光が暗闇(くらやみ)に圧倒されて、茫然(ぼうぜん)と濁っている体(てい)であった...
夏目漱石 「坑夫」
...一方の窓が締め切ってある上に...
夏目漱石 「それから」
...締(し)め切った門やら戸やらに蔦(つた)が一面に絡(から)んでいる...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...もっとも家事不取締で罰せられたり...
野村胡堂 「江戸の昔を偲ぶ」
...結び目は益々固く締るわけです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...博多帯を音のしないように締めて...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...まだ締まっている学校の門が小使の手で開かれるのを待っている...
堀辰雄 「幼年時代」
...しっかり締めてあった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...美しい、締まつた顏が、其持主を實際より賢さうに見せるのである...
森林太郎 「身上話」
...いくら締めても漸次に深みへ前進して行く締めかたにすぎなかつた...
横光利一 「書翰」
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