...一つは、永(なが)の航海で、無聊(ぶれう)に苦んでゐたと云ふ事もあるのですが、当の砲術長はもとより、私たち総出で、事業服のまま、下は機関室から上は砲塔まで、さがして歩く――一通りの混雑ではありません...
芥川龍之介 「猿」
...看護婦までが総出で探しまわった...
海野十三 「柿色の紙風船」
...四幕目は楽屋総出で盆踊...
江見水蔭 「硯友社と文士劇」
...村中総出で入海に船を浮べ...
太宰治 「新釈諸国噺」
...防水護岸の為一村(いっそん)の男総出で堤防に群(むら)がって居ると...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...町じゅう総出でピクニックをやったことがあるよ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...こうして土地の人が総出で心配をしておりまする中で...
中里介山 「大菩薩峠」
...「ほんとに、あなた様なればこそ、こんなに御親切にして下さいました、ほかのお方でしたら、わたしはどんな目に逢っていたかわかりません」「いや、それがかえって仇(あだ)となるようでは、お互いに困るから、気をつけて帰り給え、君の旦那というのが、非常に腹を立っているそうだ」「そうかも知れません」「ただいま、浴槽(ゆぶね)で聞いたのだが、昨晩は君の姿が見えないために、総出で探し、どうしてもわからないから、君は駈落(かけおち)をしてしまったものときめているらしい」「え……?」「だから、そのつもりでお帰りなさい、事がむずかしければ、拙者が行って、証人に立って上げるから……」「そうかも知れません...
中里介山 「大菩薩峠」
...七八里もあるところから、村じゅう総出で、提灯をつけて夜道を辿ってやってくる...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...扈従が総出で湖畔を隈なくたずねまわったが...
久生十蘭 「泡沫の記」
...ニューヨークにいらっしゃる日本人が総出でお出迎いして下さったのです...
三浦環 「お蝶夫人」
...彼ら総出で何とも知れぬ大声で噪(さわ)ぎ立て...
南方熊楠 「十二支考」
...お寺の人が総出でとってしまったんです...
水上滝太郎 「果樹」
...C町の婦人会の奥さん達が総出で...
三好十郎 「おスミの持参金」
...村の者は総出で駅に集っている...
横光利一 「欧洲紀行」
...犬目付や町奉行の手が総出で...
吉川英治 「大岡越前」
...玲珠膏(れいじゅこう)の井口与次右衛門もつつがないか」「総出で奮戦しておりまする」「そうか...
吉川英治 「黒田如水」
...このたびは店の者どもも総出でこちらに出向いておりまする」「来たらなぜ筑前の所へも...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索