...枯野の霧の緋葉(もみじ)ほど...
泉鏡花 「薄紅梅」
...もう一つの袂から緋天鵝絨(ひびろうど)の小さな蝦蟇口(がまぐち)を可愛らしく引出して...
泉鏡花 「婦系図」
...白かね色の曙の光はまただんだん緋紅色(ひこうしょく)を現わした...
魯迅 井上紅梅訳 「明日」
...台所の温気(うんき)でうだって緋の衣みたいな顔色をしたサモイレンコが...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...舶来の緋毛布に包まれて...
直木三十五 「南国太平記」
...石榴花の赤きは高僧のまとへる緋(ひ)の衣(ころも)の色に似たり...
永井荷風 「一夕」
...緋鯉ががぽちゃりとまた跳ねる...
夏目漱石 「虞美人草」
...濡れた緋縮緬の腰卷が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私のは眺(あつら)えて拵(こさ)えて飛切りの緋縮緬さ...
野村胡堂 「礫心中」
...室の幅一ぱいの雛段の緋毛氈(ひもうせん)の上に...
長谷川時雨 「江木欣々女史」
...緋(ひ)ぢりめんの長じゅばん...
長谷川時雨 「芳川鎌子」
...緋娑子さんは、冷淡に眼を外(そ)らしながら、「……そればかりではなく、あんな稚拙(ちせつ)な感傷をぶちまけた自分の手紙が、どこかに保存されていると思うだけで、いまのあたしの感情ではとても耐えられないことなの...
久生十蘭 「キャラコさん」
...彼が「緋文字(スカアレット・レタ)」を公にしてからでした...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...緋縅の鎧着たる阿修羅の蜂を抱へ込み...
牧野信一 「ベツコウ蜂」
...緋(ひ)の毛氈(もうせん)を敷いて...
山本周五郎 「落ち梅記」
...座敷の中程に緋(ひ)の毛氈(もうせん)をのべ...
吉川英治 「江戸三国志」
...その代りに、重盛の燈籠とか、景清の観音像とか、太刀とか、檜扇とか、緋おどし、卯の花のよろいとか、それらの物が、一堂の夕闇をモザイクして、妖(あや)しいまで古色にみちた息吹きを漂わせている...
吉川英治 「随筆 新平家」
...白の綸子(りんず)の小袖に緋(ひ)の袴(はかま)をつけて...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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