...岡は上手(じょうず)に入れられた甘露(かんろ)をすすり終わった茶(ちゃ)わんを手の先に据(す)えて綿密にその作りを賞翫(しょうがん)していた...
有島武郎 「或る女」
...(どうしてそんな風に思うんだろう?)杜は自分の心の隅々を綿密に探してみるのであった...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...残る所なく綿密に調べた...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...喬介は大胆にも直接死体に手を触れて掌中(てのなか)その他の擦過傷や頸胸部の絞痕を綿密に観察していた...
大阪圭吉 「デパートの絞刑吏」
...御自身いやしき伯楽の如くお手づから馬の口の中まで綿密にお調べになつたくらゐで...
太宰治 「右大臣実朝」
...鼻柱から鼻の孔から小鼻に至るまで綿密に触ってみるのである...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...よし一々の人の論議を取て綿密に分析したならば此共通傾向に矛盾する樣なことがあるとするも...
朝永三十郎 「懷疑思潮に付て」
...雪や風を綿密に研究してゐる...
夏目漱石 「「土」に就て」
...もっと綿密に形容すれば...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...綿密に嚴重に調べてみたが...
南部修太郎 「探偵小説の魅力」
...當てにしない方がよからう」調べは綿密に進みました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...拷問されて死んだ容疑者の死体を消滅する方法まで綿密に考えている...
久生十蘭 「ノア」
...その用の価(あたい)は子を養教するの用に比較して綿密に軽重を量りたるか...
福沢諭吉 「教育の事」
...その流行のいよいよ盛んなるに従って自ら戒むるの法もいよいよ綿密にして...
福沢諭吉 「日本男子論」
...学問は底の知れざる技芸なり憂鬱は花を忘れし病気なりわが庭はラボラトリーの名に恥じず綿密に見れば見る程新事実新事実積り積りてわが知識何よりも貴き宝持つ身には...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...わが日本の植物各種を極めて綿密に且つ正確に記載し...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...文化十年以後の景樹の歌を綿密に検したが...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...誰がいま光秀のこの腹中を知ろう)ひとり綿密に練っていたその腹中の企図(きと)も...
吉川英治 「新書太閤記」
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