...古綿のように形のくずれた色の寒い霰雲(あられぐも)に変わって...
有島武郎 「或る女」
...榛の木などの幹にも枝にも綿のように垂れ下った猿麻(さるおがせ)がしろじろと見ゆるばかりである...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...身体が綿のように疲れてるくせに...
梅崎春生 「蜆」
...下には蒲団の綿のような密雲が...
海野十三 「怪塔王」
...綿のように柔かく生暖かい月ではなかった...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...わたしは濡れた海綿のように...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...綿のような花苔の斜面と小雪渓をへだてた山側にある...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...五月の雲が真綿のように白く伸びて行くのに...
林芙美子 「新版 放浪記」
...手織木綿のような手固さと渋さを愛された英国のウォーステッドという古風なもの...
久生十蘭 「ハムレット」
...私は一眼見て完全に綿のように征服された...
平林初之輔 「秘密」
...私が求めたのでもない綿のようにくたびれ切った二匹の犬がからだを寄せて寝たというだけ...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...聊斎志異の白雲石の口碑のように穴あり時に綿のような雲を吐かねばたらぬ...
室生犀星 「庭をつくる人」
...これらの繊維の屑(くず)を綿のようにほごして中に入れたろうと思うことは...
柳田国男 「木綿以前の事」
...剃刀(かみそり)を包んだ綿のような感じがしたし...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...体は綿のようにつかれていたが...
吉川英治 「新書太閤記」
...ここへ来ると皆もう綿のようになっていて...
吉川英治 「新書太閤記」
...綿のように厚ぼったい梢の雪が...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...マダム丘子のその福々とした腕……それは真綿のように頸(くび)をしめ...
蘭郁二郎 「※[#「氓のへん/(虫+虫)」、第3水準1-91-58]の囁き」
便利!手書き漢字入力検索