...まづ未醒老人に綿々と愚痴(ぐち)を述べるつもりなり...
芥川龍之介 「田端人」
...戸倉老人の口から綿々として語りつがれるとき...
海野十三 「少年探偵長」
...』どうも綿々として尽きない...
谷譲次 「踊る地平線」
...先聖古徳の行持綿々密々なるにうたれる...
種田山頭火 「其中日記」
...それから、さらさらと笠の内側の一部分へ、思君不見下渝州さらさらと認(したた)めて投げ出したものですから、その筆のあとを、青年がしげしげと見て、「ははあ、李白ですな、唐詩選にあります」「いや、どうも、まずいもので」青年は、うまいとも拙(まず)いとも言ったのではないのに、兵馬は自分でテレて、つかぬ弁解をしていると、「いや、結構です、君を思えども見ず、渝州(ゆしゅう)に下る――思われた君というのが、つまり、そのうつのやの福松君ですな、福井の城下で、あなたとお別れになって、友情綿々、ここ越前と近江の国境(くにざかい)に来て、なお君を思うの情に堪えやらず、笠を贈って、その旅情を留めるというのは、嬉しい心意気です、友人としてこれ以上の感謝はありますまい、この使命、僕自身の事のように嬉しいです、たしかに引受けました」それと知れば、ただではこの使はつとまりませんよ、何ぞ奢(おご)りなさい、とでも嬲(なぶ)りかけらるべきところを、この好青年は、悉(ことごと)く好意に受取ってしまったものですから、兵馬はいよいよ済むような、済まないような気分に迫られたが、今更こうなっては打明けもならず、また、ブチまけてみるがほどのことでもないと、「では、どうぞ、お頼みします、その代りに君の笠を貸して下さい」「竹の饅頭笠(まんじゅうがさ)で、いやはや、御粗末なもので失礼ですが、お言葉に従いまして」青年は、自分のかぶって来た饅頭笠を改めて兵馬に提出したが、これはなんらの文字を書こうとも言わず、それはまた提灯骨(ちょうちんぼね)で通してあるから墨の乗る余地もないもの...
中里介山 「大菩薩峠」
...哀調綿々たる歔欷(すすりなき)では有りませんか?凝然(じっと)黙って居た二人は...
西尾正 「陳情書」
...綿々たる情緒、燃ゆる思慕、夢みるようなあこがれ――それはすべてかつての幽里子が口述したものではなく、東野自身の、消え去った麗人への情熱になってしまうのもまたやむを得ないことでした...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...綿々と語られてゐただけのやうでした...
堀辰雄 「匈奴の森など」
...綿々とつらぬき流れてゆく女の心の含蓄という奥ゆきが...
宮本百合子 「「愛怨峡」における映画的表現の問題」
...蔵人少将は例のように綿々と恨みを書いて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...綿々として淑やかな手紙が書き得るのか...
横光利一 「火の点いた煙草」
...かえって男の心を綿々と怨んでやみません...
吉川英治 「江戸三国志」
...官兵衛さま」綿々(めんめん)と...
吉川英治 「黒田如水」
...……その老母より綿々(めんめん)とわびしさを便りして参ったので...
吉川英治 「三国志」
...これからまだ綿々(めんめん)の情(じょう)を夫婦の室で惜しみ合うことであるのだろう...
吉川英治 「私本太平記」
...女の綿々(めんめん)な愚痴にまような...
吉川英治 「新書太閤記」
...綿々(めんめん)と告げる一伍一什(いちぶしじゅう)を...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...さっきから綿々と洩れ聞えて...
吉川英治 「源頼朝」
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