...……洋服屋の宰取(さいとり)の、あのセルの前掛(まえかけ)で、頭の禿(は)げたのが、ぬかろうものか、春暖相催し申候や否や、結構なお外套、ほこり落しは今のうち、と引剥(ひきは)いで持って行(ゆ)くと、今度は蝉の方で、ジイジイ鳴噪(なきさわ)いでも黐棹(もちざお)の先へも掛けないで、けろりと返さぬのがおきまりであった...
泉鏡花 「薄紅梅」
...「成程結構な銅鑼だ...
薄田泣菫 「茶話」
...そんな結構な身分の者に限つて...
太宰治 「お伽草紙」
...ふっくらとまことに結構な品なのでございました...
橘外男 「蒲団」
...結構なことだ』ついに彼は湖水通りにあるカルムィコワの家を見つけた...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...こんな結構なお菓子をいただいてどうも済みましねえ」与八は片手に茶碗...
中里介山 「大菩薩峠」
...そなたは今この刀の拵えを結構なものじゃというて賞めた...
中里介山 「大菩薩峠」
...僕は小供のうちから青年になる迄世の中は結構なものと思つてゐた...
夏目漱石 「鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年」
...結構な座布團も疊も滅茶々々...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お前さんだつてネ」「へエ――」「結構な道樂だネ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「左樣、左樣、結構なお天氣で、――親分も矢張り、その道のたしなみがおありかな」五音(いん)の外れた聲、あまりの事に二人は顏を見合せるばかりです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...逢引に天文(てんもん)ほど結構なものはありませんよ」「主人のことを...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...いいかね、僕は君から今、三千ルーブリだけ貰えばいいんだよ、残りの千ルーブリは、後で結構なのさ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...「実に結構な蒐集(しゅうしゅう)ですね...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...結構な3660ワルプルギスの夜の楽(たのしみ)が染み渡るようだ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...至極結構な御主人ではあるが...
森鴎外 「蛇」
...結構な事だと思つてゐる...
森林太郎 「ロビンソン・クルソオ」
...いつも謙遜の風をもって人に接せられるのはただそれだけでも結構なことであるが...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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