...赤い脚絆(きゃはん)...
太宰治 「狂言の神」
...だん/\それに絆(ほだ)されて抜きさしがならないやうになり...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...腰から下は股引脚絆(ももひききゃはん)で...
寺田寅彦 「花物語」
...鳥さしは菅笠をかぶり、手甲脚絆がけで、草鞋をはき、腰に獲物を入れる籠を提げ、継竿になった長い黐竿(もちざお)を携え、路地といわず、人家の裏手といわず、どこへでも入り込んで物陰に身を潜め、雀の鳴声に似せた笛を吹きならし、雀を捕えて去るのである...
永井荷風 「巷の声」
...襟のかかった絆纏(はんてん)を着た遊び人体(てい)の男が...
中里介山 「大菩薩峠」
...そうしてささやかな一包みの荷物――草鞋(わらじ)脚絆(きゃはん)に...
中里介山 「大菩薩峠」
...がんりきは脚絆(きゃはん)の紐(ひも)を結び直したけれども...
中里介山 「大菩薩峠」
...笠ははね飛ばされて、月代(さかやき)の青い地頭が出て居りますが、白粉を塗つて、引眉毛、眼張りまで入れ、手甲、脚絆から、笈摺(おひずる)まで、芝居の巡禮をそのまゝ、此上もない念入りの扮裝(こしらへ)です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...供の者の絆纒(はんてん)は皆んな裏返しに着て居たさうで」「企(たくら)みは深いな」斯(か)う聞くと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...四角な荷物を背負(せお)うた草鞋脚絆(わらじきゃはん)の商人が駈けてきて飛乗ると...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...これに似た話ラヤードの『波斯(ペルシア)スシヤナおよび巴比崙初探検記(バビロンしょたんけんき)』(一八八七年版)にクジスタンで馬が獅を怖るる事甚だしく獅近処に来れば眼これを見ざるにたちまち鼻鳴らして絆を切り逃げんとす...
南方熊楠 「十二支考」
...前は野良着に巻脚絆に戦闘帽の中年の男...
三好十郎 「おりき」
...捨てがたい優しい妻が自分の心を遁世(とんせい)の道へおもむかしめない絆(ほだし)になって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...絆創膏を貼った痕もないところ……又は帽子と注射器を枕元に正しく置いて絶息しているところなぞを見たら...
夢野久作 「暗黒公使」
...伊兵衛は何か考えていたがクルクルと脚絆(きゃはん)を解いて...
吉川英治 「江戸三国志」
...そこに集合していた人間は、一列一体に、渋色の巻頭巾、わらじ脚絆、「めざまし草」の箱胴乱をかけた姿で、みなこれ、同業同色のたばこ売りでありましたから、九兵衛もいささか驚いて、いつのまに、こんな出店がふえたろうかと呆れている...
吉川英治 「江戸三国志」
...四脚絆素わらじ、銀の脇差の一本落し、身軽に裾を端折(はしょ)って、背中へは、桐油紙(とうゆ)でくるんだ細長い物を、斜(はす)かいに背負い込んでいるが、長さ、反(そ)り工合(ぐあい)からみて、中身の品は確かに刀らしく見える...
吉川英治 「剣難女難」
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