...名は小夜(さよ)と申しまして、私の口から申し上げますのも、異なものでございますが、至って素直な、はにかみ易い――その代りまた無口過ぎて、どこか影の薄いような、寂しい生れつきでございました...
芥川龍之介 「疑惑」
...つまり素直なる順序によってこの「鼠の顔」の謎を解いたわけではなかったのだ...
海野十三 「軍用鼠」
...大体素直な判定さ...
大阪圭吉 「気狂い機関車」
...あれでも気の優しい素直な男だわ...
ストリンドベルヒ August Strindberg 森鴎外訳 「一人舞台」
...さういふ生活の根源は素直な心である...
種田山頭火 「其中日記」
...素直な満足と喜悦(よろこび)に和(やわら)ぎ浸ることができずに...
徳田秋声 「あらくれ」
...極く素直な顔と姿の持主だけに...
徳田秋聲 「二つの失敗」
...何事にも穏かな素直な微笑みを洩らすのは彼女の癖であった...
豊島与志雄 「田原氏の犯罪」
...素直な孤児を悪くしてしまったのだ...
永井隆 「この子を残して」
...僕はいつの間にか昔と同じように美くしい素直な邪気のない千代子を眼の前に見る気がし出した...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...素直な態度に次第に感情的に惑わかされて行くものを感じた...
牧野信一 「露路の友」
...何れも素直な自由な言文一致の体で書かれてゐる...
水野葉舟 「言文一致」
...ただ、九州に来て、線の素直な、簡明な樹幹ばかり眺めていたところへ、いやに動物的にうねくって縺れ合った檳榔樹の体やばさばさふりかぶった葉を見、暗く怪奇な印象を与えられたのは面白い...
宮本百合子 「九州の東海岸」
...その焦慮の間からどうして静寂な素直な作が生れ出ようか...
柳宗悦 「工藝の道」
...そうして美はかかる素直な心への酬いであった...
柳宗悦 「工藝の道」
...君の心を究(きは)めんと、じつと黙(もだ)してある身にも似るか、素直な春の風、赤い笑(ゑ)まひが先に立つ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...恋知らぬ素直なる処女(をとめ)の如(ごと)くにし...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...そうしよう」まことに彼は素直な主人であった...
吉川英治 「新書太閤記」
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