...素朴なる確信の響を傳へ得ぬ樣になつてからもう三年になる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...素朴な中に渋い調和があり...
高村光太郎 「智恵子の半生」
...ゲエテの素朴な詩精神に敬服しているのではなく...
太宰治 「ろまん燈籠」
...夫が如何にも素朴な又は幼稚な所説だというような顔をするかも知れない...
戸坂潤 「科学論」
...素朴な優美さの愛くるしい頤(あご)...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...何んとなく眞つ正直な素朴なものを見出しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...素朴なひとで、長い間外国にいた人とも思えないほど、しっとりと日本風に落ちついた人である...
林芙美子 「落合町山川記」
...生きること、生きてゐること、小鳥が毎朝、泉で水を浴びて甦るやうに、僕のなかの単純なもの、素朴なもの、それだけが、ただ、僕を爽やかにしてくれる...
原民喜 「鎮魂歌」
...彼等も元々はごく素朴なものだったのだが……彼はこのパチパチ音を立てる虚栄心に...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...昔ながらの一本気な素朴な激しさでものごとにうちかかつて行く彼女の性質に...
北條民雄 「青春の天刑病者達」
...もはや前代の人々のもっていたような素朴な他界信仰からも完全にぬけ出してきたのです...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...素朴ながら力をこめて羽ばたきつつ自身の道をひらいてゆく現実を描いたものである...
宮本百合子 「あとがき(『伸子』第一部)」
...素朴な云い方をもってすれば...
宮本百合子 「落ちたままのネジ」
...素朴な確実な郷土の風格を保有する...
柳宗悦 「民藝四十年」
...一少年の素朴な機智に全生涯をあずけて悔いない顔つきになっていた...
吉川英治 「私本太平記」
...敬愛し合う男女の素朴な祈りと生命のみが知るものだった...
吉川英治 「私本太平記」
...五十がらみの素朴な工場主であった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...きわめて素朴な形に現われた...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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