...開けて入れば自(おのず)から音なく閉じて彼方(かなた)より顧みれば壁と見紛うばかりなり...
泉鏡花 「活人形」
...あまり思いがけない服装をしているから分らなかったが紛う方なき秀蓮尼だった...
海野十三 「鍵から抜け出した女」
...ほとんど若き春にも紛う美しさに照り映えて見えるのだった...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...見紛うべくもない特色である...
田辺元 「メメント モリ」
...紛う方なき自分の姉である人が...
谷崎潤一郎 「細雪」
...紛うかたなき女性の腕が...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...獣と見紛うばかりの日焼けた男がぼろをまとって部屋へ上がり込んだのだ...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...それが見紛うべくもなき宇治山田の米友でしたから...
中里介山 「大菩薩峠」
...紛う方なきといっても...
中里介山 「大菩薩峠」
...紛うかたなきマドロスがいる...
中里介山 「大菩薩峠」
...雪にも紛う顔の色が一層引ッ立ッて見える...
広津柳浪 「今戸心中」
...彼らは紛うことのない歓迎のいろをたたえてみせた...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...したがってまたこの実践哲学そのものの欠陥を紛う方なく認識した...
三木清 「マルクス主義と唯物論」
...綾のようにすかすと見紛う簾ではよくは見えないもどかしさがあった...
室生犀星 「荻吹く歌」
...やや褐いろに近いと思えた目は紛うかたもない藍ばんだ黒さで...
室生犀星 「幻影の都市」
...紛うかたもない娘が半身を障子のそとへあらわし...
室生犀星 「不思議な国の話」
...紛うかたなき信仰行事の一致があって...
柳田国男 「海上の道」
...誰が聞いても紛うかたないセルゲイの声だった...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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