...今迄は知らずにゐたが更紗の卓子掛でも揉むやうなザワ/\といふ物音がする...
石川啄木 「新しい歌の味ひ」
...池の端(はた)あたりにはふらふらと泳いでいたろう――その頃は外套(がいとう)の襟へ三角形(なり)の羅紗(らしゃ)帽子を...
泉鏡花 「薄紅梅」
...例の談判にやって来た時の上等な広幅羅紗の一着を着ていたが...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...ふわりとした薄(うす)い紗(しゃ)の服で...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...錦紗(きんしゃ)ずくめの厚衾(あつぶすま)に深々と痩(や)せた体を沈め...
徳田秋声 「縮図」
...太陽の面に幾重も幾重も紗のヴェールをかけたかのように...
豊島与志雄 「広場のベンチ」
...羅紗(らしゃ)しょうじょう緋(ひ)のつっぽ襦袢(じゅばん)……大津絵もどきを唸(うな)るのがあるかと思えば...
中里介山 「大菩薩峠」
...氏の工場は更紗干す庭を前にして水田のほとりにあり...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...迷亭は大島紬(おおしまつむぎ)に古渡更紗(こわたりさらさ)か何か重ねてすましている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...黒羅紗(ラシャ)のマントル(赤裏)を着て下駄は鈴のはいったポックリだ...
長谷川時雨 「源泉小学校」
...白い紗(しゃ)の窓掛けを蝶のようにひらひらさせ...
久生十蘭 「キャラコさん」
...国王は只(ただ)羅紗(ラシャ)の服を着て居ると云う位(くらい)な事...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...凍(いて)つくやうな風が吹き上げる縞羅紗(しまらしや)の外套を...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...あのフィリッピンの婦人の着物で見るような寒冷紗(かんれいしゃ)というものが行われてから...
柳田国男 「木綿以前の事」
...そしてすぐに袱紗(ふくさ)で包み...
山本周五郎 「落ち梅記」
...お母(つか)さんのピニヨレは何時(いつ)も白い紗(しや)で髪から首筋を包んで居てラフワエルの描(か)いた聖母像を想はしめる優しい面立(おもだち)の女だが...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...大きな頭被の綿紗の布片が六十年來垂れ下つてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...胴巻へしっかり抱いてゆくがいい」そこらにあった更紗(さらさ)の襤褸(ぼろ)を投げてやる...
吉川英治 「宮本武蔵」
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