...涼しさやすぐに野松の枝のなり夕顔や酔(ゑう)て顔出す窓(まど)の穴山賤(やまがつ)のおとがひ閉づる葎(むぐら)かな第一は純然たる風景画である...
芥川龍之介 「芭蕉雑記」
...純然たる自分の要求を裏切って...
上村松園 「雷同性に富む現代女流画家」
...しかもあれだけ純然たる絵画の形式に纏め上げるだけの意力が...
大阪圭吉 「闖入者」
...純然たる肉体労働だ...
種田山頭火 「行乞記」
...同人の「おもい切ったる死にぐるい」がやはり前々句の去来の「いまや別れの刀さし出す」の純然たる申し子であるがごときはなかなか興味ある事実である...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...純然たる商工業の範囲に進出致し...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...純然たるファッシズムの道を開拓する他はない...
戸坂潤 「辞典」
...純然たる外交交渉案件である故...
戸坂潤 「社会時評」
...純然たる政黨内閣を建設せよ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...今日假りに純然たる政黨内閣を組織し見よ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...天明に入(い)るや風俗画の背景既に純然たる一幅の好山水(こうさんすい)をなせるものあるに至れり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...また西洋がかった所も無い(南洋でちょっと顔立が整っていると思われるのは大抵どちらかの血が混っているものだ)純然たるミクロネシヤ・カナカの典型的な顔だが...
中島敦 「環礁」
...純然たる坑夫の顔であった...
夏目漱石 「坑夫」
...名は日本橋だけれどもその実は純然たる洋式で...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...作品を純然たる商品と見なさなくては仕事ができないのである...
平林初之輔 「昭和四年の文壇の概観」
...親切な医者――それが他人の眼に触れぬ場所では純然たる精神病患者であること……斯う想ふと私は...
牧野信一 「妄想患者」
...多くの土地ではもう純然たる正月遊びになっている...
柳田国男 「こども風土記」
...純然たる科学の基礎に立脚して編み出されました...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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