...音もなくひっそりと濡らしてゆく小糠雨とか...
石原純 「雨粒」
...しめ切(き)つた戸(と)の外(そと)は蒸(む)すやうな糠雨(ぬかあめ)だ...
泉鏡太郎 「雨ふり」
...糠雨(ぬかあめ)でも飲むべい...
泉鏡花 「海異記」
...その日は朝から小糠雨が降りしきっていたが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...糠雨(ぬかあめ)のちらちら降る中を外の方へ歩いて往った姿も浮んで来た...
田中貢太郎 「青い紐」
...糠雨(ぬかあめ)のおぼつかなき髣髴(はうふつ)の中に...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...空を仰ぐと細かな糠雨が...
豊島与志雄 「子を奪う」
...点滴の音もせぬ雨といえば霧のような糠雨(ぬかあめ)である...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...秋の夜の糠雨といえば物の湿(し)ける事入梅にもまさるが常とてわたしは画帖や書物の虫を防ぐため煙草盆(たばこぼん)の火を掻(か)き立てて蒼朮(そうじゅつ)を焚(た)き押入から桐(きり)の長箱を取出して三味線をしまった...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...殊に糠雨(ぬかあめ)の雫(しずく)が葉末から音もなく滴(したた)る昼過ぎ...
永井荷風 「鐘の声」
...自分は始めて目には見えない糠雨が空の晴れさうに明くなつて居るのにも係らず...
永井荷風 「花より雨に」
...古い京をいやが上に寂(さ)びよと降る糠雨(ぬかあめ)が...
夏目漱石 「虞美人草」
...それが細(こま)かい糠雨(ぬかあめ)なので...
夏目漱石 「初秋の一日」
...糠雨(ぬかあめ)で暈(ぼか)されたかの如(ごと)くに霞(かす)んでいる...
夏目漱石 「それから」
...やがて小糠雨(こぬかあめ)を羽織に浴びながら...
林芙美子 「新版 放浪記」
...また同じ帳面に居鷹の横雲に眼や時鳥(ほととぎす)糠雨(ぬかあめ)に身振ひするや原の雉子(きじ)畑打のひまや桜の渡し守などいふ句は已に月並調に落ちて居る...
正岡子規 「病牀六尺」
...高館に登りて見れば小糠雨烟りて寒く朽ちかけし家のほとりの高き木に鳴く蝉かなし苔かほる古き木に倚りその昔の人をしのべど木々に吹く風も寂しく消えて行く思ひ儚し遠山の淡くけむりて北上は北の果よりその昔の夢を語らずうね/\とうねりて流る故郷を遠くはなれて旅に見る夢跡かなし生ひ繁る草木の緑高館に吹く風寒し...
森川義信 「高館」
...終日のぬかるみと小糠雨(こぬかあめ)にまみれた姿で京都につき...
吉川英治 「私本太平記」
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