...なんだか妙に粘っこい眼付だと...
梅崎春生 「Sの背中」
...血の外には鼻汁のようなどろどろした白い粘っこい物が出るばかりでございます...
谷崎潤一郎 「細雪」
...「だって、アリョーシャ、こんなものはほんのでたらめじゃないか、これまで二行の詩も書いたことのない、無分別な学生のとりとめもない劇詩にすぎないんだよ、なんだってそうおまえはきまじめにとるんだい? ほんとにおまえは僕がエズイタ派の仲間へ走って、キリストの事業を訂正しようとしている連中の群れへ投じるだろうなんて、思ってるのかい? とんでもないこったよ! 僕はおまえに言ったとおり、三十まではこうしてだらだらと生きのびるんだ、そして三十が来たら杯を床へたたきつけるまでさ!」「じゃ、粘っこい若葉や、立派な墓や、青空や、愛する女はどうなんです! それじゃ兄さんは何をあてに生きてゆくのです、どうしてそういうものを愛してゆくつもりなんです?」アリョーシャは痛ましげに叫んだ、「胸や頭にそんな地獄を持ちながら、兄さんはどうしてやってゆくのです? いいえ、兄さんはきっとああいう仲間にはいるために出かけて行きます……でなかったら自殺しますよ、とてもしんぼうしきれたものじゃありません!」「なんでもしんぼうすることのできる力があるさ!」と、もうひややかな嘲笑を帯びた声でイワンが言った...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...本当に粘っこい小さい葉を愛するだけの気力が僕にあるとしたら...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...なにか粘っこい女らしさを発散する...
豊島与志雄 「朝やけ」
...粘っこい眼付で彼の方をじろじろ眺めだした...
豊島与志雄 「子を奪う」
...底力のある粘っこい熱さだった...
豊島与志雄 「裸木」
...己れの細くて粘っこい巻蔓(ひげ)を輪にして...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...しかし粘っこいだけに...
三田村鳶魚 「話に聞いた近藤勇」
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