...どこへ行ってしまうのであろう? 海はただ幾重(いくえ)かの海苔粗朶(のりそだ)の向うに青あおと煙っているばかりである...
芥川龍之介 「少年」
...五軒目には人が住んでいたがうごめく人影の間に囲炉裡(いろり)の根粗朶(ねそだ)がちょろちょろと燃えるのが見えるだけだった...
有島武郎 「カインの末裔」
...土間から一束の粗朶(そだ)を持って来て火を起した...
犬田卯 「おびとき」
...向うから重さうに粗朶を負うて女がひとり下りて來た...
田山花袋 「道綱の母」
...その女がその背負つた粗朶をそこに下して...
田山花袋 「道綱の母」
...あゝして里に出て粗朶を賣つて來るのを待つてゐるのよ...
田山花袋 「道綱の母」
...ちょうどそのときサモイレンコが粗朶をくべ足したので焚火がぱっと燃え上り...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...」韃靼人は粗朶を焚火へ投げ入れて...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「追放されて」
...兄弟……」一人になると韃靼人は粗朶を投げ添えて横になった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「追放されて」
...そこへ向うから粗朶を積んだ車が来る...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...とある山蔭で粗朶(そだ)を背負ってくる娘さんに逢った...
中勘助 「島守」
...隅(すみ)の方(はう)にちゞまつてりや何(なん)ともゆはねえな」勘次(かんじ)がついて居(ゐ)る間(あひだ)におつぎは枯粗朶(かれそだ)を折(をつ)て火鉢(ひばち)へ火(ひ)を起(おこ)した...
長塚節 「土」
...身の丈(たけ)に余る粗朶(そだ)の大束を...
夏目漱石 「虞美人草」
...古畳の代りに粗朶を針金で編んだ...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...粗朶火を持たない左の手で...
宮本百合子 「田舎風なヒューモレスク」
...藻草と海苔(のり)粗朶(そだ)とが舟脚にからむ...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
...裏山から担(かつ)ぎ出(だ)して来た粗朶(そだ)のタバに腰をおろしていた二人はいささか味気ない顔の疲れを見あわせていた...
吉川英治 「私本太平記」
...淺草海苔などの樣に粗朶(そだ)に留つたものを取るのでなく...
若山牧水 「樹木とその葉」
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