...彼は少し離れた簷下(のきした)に身を躱(かく)してようやく落ち著きを得たが...
魯迅 井上紅梅訳 「白光」
...正造はまた眉根をつりあげて簷先(えんさき)の黒雲に眼を放っていたが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...つらゝは簷(のき)よりも大也...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...簷外(えんぐわい)急(たちまち)玉山を築(きづき)戸外へもいでがたく悃(こま)り申候...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...春風は既に予が草堂の簷(のき)を吹いた...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...簷下(のきした)に一疋(ぴき)の獣が死んでいた...
田中貢太郎 「狐の手帳」
...斜(ななめ)に見えている母屋(おもや)の二階の簷(のき)に眼をやった...
田中貢太郎 「岐阜提燈」
...間もなくして簷(のき)先から不意に鳥の堕ちて来るようにおりて来た者があった...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「五通」
...簷端(のきば)には星が光って虫の声がしていた...
田中貢太郎 「鮭の祟」
...その客は私のいない間に簷(のき)から飛んで右の足首をくじいていた...
田中貢太郎 「死体の匂い」
...耳門(くぐり)にした本門(ほんもん)の簷口(のきぐち)に小さな軒燈(けんとう)が点(とも)り...
田中貢太郎 「水魔」
...その下宿の簷(のき)はぐらぐらとしてその柱に当りそうに動いていた...
田中貢太郎 「変災序記」
...地震が来るとこわれかかった家の簷がぐらぐらと動いて今にも落ちて来そうに見えたが...
田中貢太郎 「変災序記」
...家々の簷(のき)に掲げた燈籠に明るい月が射して...
田中貢太郎 「牡丹燈記」
...便所の簷下(のきした)で背に何かものが負われたように不意に重くなった...
田中貢太郎 「妖怪記」
...赤脚(はだし)になって四聖観の簷下を離れて走りおりた...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...傘を渡すなり簷下に添うてとかとかと歩きだした...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...向の二階の簷と、庭の松の梢が、一瞬、異常な密度で網膜に映じた...
原民喜 「壊滅の序曲」
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