...重箱入りの上等弁当でなく...
梅崎春生 「腹のへった話」
...お春が最初手ほどきをして貰ったのは一昨年の秋のことで、幸子は大阪で七つ八つの幼い娘が入門の時に習う、「箱入りの、姫も出しけり雛祭(ひなまつり)」と云うあの唄や「四季の花」などから始めて、折々気が向くと教えてやったので、今では「黒髪」だの「万歳」だのが上っていたが、女学校が嫌(きら)いで女中奉公を志願した彼女も、芸事は好きであると見えて、今日は稽古をして上げると云われた日は急いで用事を片附けると云う風であった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...ある一つの大きな台に積上げた品物を何かとよく見るとそれがことごとく石鹸の箱入りであった...
寺田寅彦 「初冬の日記から」
...箱入りの包みを持って来た主人の声に相違ないから...
中里介山 「大菩薩峠」
...箱入り一閑張りの...
長谷川時雨 「柳原※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子(白蓮)」
...もとより箱入りの生娘ならねば少しは察しても居て下さろうが...
樋口一葉 「にごりえ」
...上等なのは、桐の箱入りで、デコレーションの附いた、スポンジケーキが、ギッシリと詰っていて、その上へ、ザーッと、小さな銀の粒や、小さな苺(いちご)の形をしたキャンディーが掛けてあった...
古川緑波 「甘話休題」
...箱入りの天ぷら、海老に、はぜ、穴子、そして、はしらのかきあげ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...本箱の上には、箱入りになつた、高さ六寸くらゐの人形が飾つてあつた...
北條民雄 「鬼神」
...母親の仕込みによっても箱入りに育って来たから...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...当分は箱入り女房ってことにしとくつもりですよ」「夫婦となればね」と彼はまた云う...
山本周五郎 「季節のない街」
...箱入り同様に育てられたので...
山本周五郎 「季節のない街」
...――おれの女房は箱入りなんでね...
山本周五郎 「古今集巻之五」
...主計の「箱入り女房」という言葉がぴったりするように思えた...
山本周五郎 「古今集巻之五」
...粉で箱入りになっているほうよ...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...そんな大家の箱入り娘が自分から嫁にゆきたがるなんて...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...大きな硝子(ガラス)箱入りのお河童(かっぱ)さんの人形が美しい振り袖を着て立っている...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...箱入りの鉛の兵隊――今やまさに戦争をしようとしているところだ...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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