...それに小さな針鉄(はりがね)の輪を箝(は)めて...
江見水蔭 「死剣と生縄」
...かつて母のかぼそい指が箝(は)めたであろうそれらの爪を...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...そこがしっくり箝(は)まっているとも思えないのであったが...
徳田秋声 「縮図」
...この新聞紙反動化現象は社内幹部の自発的な決心によるものでもあるが(例えば自分の新聞紙以外のジャーナリズムに於て記者は言論を発表してはならぬという箝口令が社内で下された――恰度軍人は軍部大臣を通じて大蔵省の官吏は蔵相か次官を通じてしか物を云ってはならぬということになったように)...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...併しあんな常識を外れた策略は侯の柄に箝まるものでない...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...これを外にしては政府教門の箝制する所とならず...
中江兆民 「『東洋自由新聞』第一号社説」
...繊鑷ヲ以テ之ヲ箝提スト...
中谷宇吉郎 「『雪華図説』の研究」
...四角のものが円きところに箝(はま)らんとするといったが...
新渡戸稲造 「自警録」
...そのため裁判所の厳重な箝口令(かんこうれい)にも穴があくのだ...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...お勢も仕方なく口を箝(つぐ)んで...
二葉亭四迷 「浮雲」
...これを菊五郎に箝めて書いてやりたる作者も大に賞揚せざるべからず...
三木竹二 「明治座評」
...箝(はま)らぬは尤(もっとも)とはいひながら...
三木竹二 「両座の「山門」評」
...手錠を箝(は)められた囚人や其を護送する劍を光らせる巡査や...
三島霜川 「解剖室」
...七輪へテンピを載(の)せるのもそのままでは辷(すべ)って困るから四角な木の枠を箝(は)めてこの通りにして使うのだとテンピの使用法を実地に示せば何ほど利益だか知れません...
村井弦斎 「食道楽」
...四角に見えたる食卓ながら横に板を抽(ぬ)き出(だ)して支えの腕木を箝(は)めければ忽(たち)まち長方形の大なる食卓と変じぬ...
村井弦斎 「食道楽」
...ちょうどスープ鍋が半分ほどスポリと箝(はま)るようになって上の方に小さな孔(あな)がポツポツ明(あ)いている...
村井弦斎 「食道楽」
...これは火鉢の中へ深い鍋が半分箝って底ばかりでなく腰の周囲(まわり)を尽く温めるようになるから火の利き方がよい...
村井弦斎 「食道楽」
...それから鍋をスポリと箝めるが一旦火になった炭だから決して消えない...
村井弦斎 「食道楽」
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