...父は店先でトン/\と桶の箍(たが)を篏(い)れてゐたし...
石川啄木 「二筋の血」
...かの将(まさ)に倒れんとする老樹を辛うじて支ふる鉄の箍(たが)の如きものではないのである...
エレン・ケイ 伊藤野枝訳 「恋愛と道徳」
...あるいは箍(たが)の弛(ゆる)んだ桶(おけ)...
内田魯庵 「二葉亭追録」
...四壑のために鉄より堅牢なる箍(たが)を匝(め)ぐらしたるもの...
宇野浩二 「それからそれ」
...肥桶の箍(たが)を黄金で造ると言うたそうであるが...
丘浅次郎 「我らの哲学」
...箍(たが)がはじけ...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...ハ短調交響曲の箍(たが)の飛びぬけをやってるのだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...卑俗な町のまん中に、なんらの特色もないまっすぐな街路に、いろんなものが突然そびえていた、エジプトの大墓窟(ぼくつ)、ノールウェーの農家、修道院、城楼、万国博覧会の層楼、生気のない顔と一つの巨大な眼をもってる、地面にもぐり込んだ無脚のふくれ上がった家、地牢(ちろう)の鉄門、潜水艦の押しつぶされた扉(とびら)、鉄の箍(たが)、窓の鉄格子(てつごうし)についてる金色の隠花植物、表門の上に口を開(あ)いてる怪物、あちらこちらに、思いもかけぬところには皆敷いてある、青い瀬戸の敷き石、アダムとイヴとを示す雑色の切りはめ細工、不調和な色の瓦(かわら)でふいた家根、最上階には銃眼をうがち、頂上には異形の動物をすえ、一方には窓が一つもないが、他方には突然相並んで、方形や長方形のぽかんと開いてる多くの穴が、傷口みたいについてる、要塞(ようさい)式の家、裸壁の大きな面、その面からはただ一つの窓の所へ、不意に大きな露台が飛び出し、その露台はニーベルンゲン式の人像柱にささえられ、またその石の欄干からは、髭(ひげ)のはえた髪の濃い老人の、ベックリンの人魚のような男の、二つのとがった頭が飛び出していた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...皆横に打ちつけた長い鉄の箍(たが)で止めてあった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...三つしかない鉄の箍(たが)は錆(さ)びきっていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...もともとおてんばの好きなおちやんは私たちの遊びを垣根ごしに面白さうに見てたが終には自分も出てきて見やう見まねに縄とびや箍まはしなどをやるやうになつた...
中勘助 「銀の匙」
...これ一つの箍の懸換えをするにも優に一日はかかりそうだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...東海竜王(とうかいりゅうおう)から奪った一万三千五百斤(きん)の如意金箍棒(にょいきんそうぼう)を揮(ふる)って闘うところ...
中島敦 「悟浄歎異」
...鉛の箍((たが))のビールの壺はヨ大きなパイプで威張りくさつて突ン出た唇(くち)から煙を吐き吐き...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...奮発の箍(たが)がしだいしだいに緩(ゆる)んだのもたしかな事実である...
夏目漱石 「坑夫」
...箍も鐵か眞鍮(しんちゆう)が宜いな...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...クローム製の箍(たが)太やかなるを七八個も右の手頸(てくび)にはめ込んだのは...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...顔の美人粧(パッチ)と袴の箍骨(フーブス)を取りながら...
プーシキン Alexander S Pushkin 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
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