...この筆勢の妙味は時には再び繰返そうとしても到底繰返すことの出来ないようなものも出来ます...
上村松園 「絹と紙の話と師弟の間柄の話」
...青筋出して肝癪(かんしゃく)起した二葉亭の面貌(めんぼう)が文面及び筆勢にありあり彷彿して...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...危(あやう)いかな博士の一命! 生かまたは死か?2……筆勢(ひっせい)あまって嚇(おど)し文句を連(つら)ねてはみたが...
海野十三 「毒瓦斯発明官」
...日本畫の弊として筆勢らしいものがいくらか山の特性を失つてゐるかも知れないとしても...
竹久夢二 「砂がき」
...此(かく)の如くフェノロサの研究は各時代の画家の制作全部を蒐集してその色彩及び筆勢を比較し...
永井荷風 「江戸芸術論」
...その意匠の奇抜にして筆勢の軽快なるにかかはらずその着色中の赤と緑の如きは吾人をして大(おおい)に失望せしむるものあり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...これに反して名所江戸百景は惜しい哉(かな)その布局の写生を離れ筆勢奔放意匠甚だ奇抜なるにかかはらず板行絵(はんこうえ)としての色彩甚だ美妙ならず...
永井荷風 「江戸芸術論」
...日本の画家にして北斎の如くその筆勢の赴(おもむ)く処...
永井荷風 「江戸芸術論」
...名所絵は広重に似てその筆勢やや粗放なる処あり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...流るる如き筆勢で...
中里介山 「大菩薩峠」
...絵馬の筆勢に似せて描いたものであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...その筆勢にかなう磊嵬(らいかい)たる意気の噴出でないものはありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...大雅堂(たいがどう)流の筆勢で...
夏目漱石 「虞美人草」
...後者のそれには如何に筆勢が躍動して...
南部修太郎 「氣質と文章」
...尾崎士郎氏の「時間」は随分と自由に手放しに書きまくつてゐるが筆勢には鮮やかなものがあり次第に特質といふべきものをはつきりと体得して...
牧野信一 「月評」
...崋山(かざん)の『一掃百態』はその筆勢のたくましきことと...
正岡子規 「病牀六尺」
...蘭軒は「此本章句方法、彰々全整、而筆勢生動、盈満行界、銭氏所謂原書是也、可謂希世之本哉」と云つてゐる...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...やるかたない思いをそこへぶつけたような筆勢と墨の気があった...
吉川英治 「私本太平記」
便利!手書き漢字入力検索