...あからむ覆盆子(いちご)などさすがになつかしくて根岸庵のあるじがり端書(はがき)をやる...
伊藤左千夫 「滝見の旅」
...直江津なる友人へ急用の端書(はがき)を出すためである...
伊藤左千夫 「浜菊」
...酒はもとより、煙草の粉までなくなつた、端書も買へない、むろん、お香香ばかりで食べてゐる、といつて不平をいふのぢやない、逢茶喫茶、逢酒喫酒の境涯だから――しかし飲まないより飲んだ方がうれしい、吸はないより吸ふた方がうれしい、何となくさみしいとは思ふのである...
種田山頭火 「行乞記」
...今日の支出は、――木賃二十五銭、飯米五合、たばこ四銭、端書六銭、酒代十銭、……伊佐は風流な町だ、山あり田あり、鶯が鳴き不如帰が鳴く、狼が出るかも知れない、沙漠のやうに石灰工場の粉が吹き流れてゐる...
種田山頭火 「行乞記」
...あとから端書を差上げると云ふ事にいたしませう...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...猿之助英国より絵端書を送り来る...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...父は汽車から私が脳病でも起しはすまいかと言つて端書を寄こした位だつた...
中原中也 「その頃の生活」
...絵端書が済んで、しばらく世間話をした後で、岡田とお兼さんはまた来ると云って、母や兄が止(と)めるのも聞かずに帰って行った...
夏目漱石 「行人」
...絵端書(えはがき)一枚さえ来なかった...
夏目漱石 「行人」
...露都(ろと)在留中ただ一枚の端書(はがき)をくれた事がある...
夏目漱石 「長谷川君と余」
...健三が受取った端書を手に持ったなり何時までも読みそうにしないので...
夏目漱石 「道草」
...端書(はがき)でも用の足りるところを...
夏目漱石 「門」
...宗助は安井と御米から届いた絵端書を別にして机の上に重ねて置いた...
夏目漱石 「門」
...一寸(ちよつと)で可(い)いから來(こ)いといふ端書(はがき)が來(き)た...
夏目漱石 「門」
...」之は赤旗事件の時に桃木に宛てた端書である...
平出修 「逆徒」
...上京してお宅に居ると云う端書(はがき)をくれた限(き)りで...
松崎天民 「友人一家の死」
...なんだかAさんに逢ひたくつて端書を出す...
水野仙子 「道」
...端書きも作者の名も書き抜いて置いて見るのがおもしろいのであるが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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