...彼等は畢竟未練に過ぎない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...自分達は究竟の意味に於いて他を愛する生涯をば決して輕易に見積る事を許されない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...然し聖書の内容は畢竟凡ての芸術以上に私を動かします...
有島武郎 「『聖書』の権威」
...畢竟(ひっきょう)するに戯作が好きではなかったが...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...約(ちぎ)り竟(を)へてりたまふ時に...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...水を沸かして蒸汽とし、其の力で車を廻すと云ふことだけを見ると、如何に考へても自然から復讐せらるべき因縁は無い様であるが、之が人間社会に応用せられると、忽ち多数の貧困者が出来て、生活の困難が始まると云ふのは、畢竟、社会の制度の中に何等か不条理な点が存する故であらう...
丘浅次郎 「自然の復讐」
...凡兆の句は大方清新にしてしかもどことなく大きいところのある――仮りに彫刻にたとえていえば鑿(のみ)の使いようがずばずばとくったくなく大きい――というのも畢竟(ひっきょう)この写生からくる強味なのでありましょう...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...竟(つひ)にその答はやつて来なかつた...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...滅の究竟に生あり...
田山録弥 「生滅の心理」
...是(これ)も必竟(つまり)は世帶(しよたい)の苦勞(くらう)から起(おこ)るんだと判(はん)じた...
夏目漱石 「門」
...ああ云うのは必竟(ひっきょう)世間見ずの我儘(わがまま)から起るのだから...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...畢竟(ひっきょう)こうした言葉が言われるのは...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...畢竟(ひっきょう)言語壅蔽(ようへい)諸司不行届(しょしふゆきとどき)の致す所と深く恐れ入り候次第に付...
服部之総 「新撰組」
...俺は陶に溺愛し、ほんのちょっとの間も傍から離したくないほどに思っていたが、例の避け難い猜疑心から、畢竟、この女も栄爵と権勢に憧憬れて嫁入ッたのであろうという疑念を取り去ることが出来ず、それに持前の卑屈な根性で、自分の愛情を露骨に示すことがなんとなく面映ゆく思われるもンだから、権柄(けんぺい)に任せて粗暴放埓な振舞いをし、時には訳もなく手を挙げて打つようなことすらあった...
久生十蘭 「湖畔」
...このエビヅルは我邦各地に野生し畢竟(ひっきょう)葡萄属の一種である...
牧野富太郎 「植物記」
...余が君のために教へられて何となく悟りたるやうに思ふも畢竟(ひっきょう)君の教へやうのうまきに因る...
正岡子規 「墨汁一滴」
...畢竟(ひっきょう)するにこの二つの植物の名の提唱が...
柳田国男 「年中行事覚書」
...私と閏土とは竟(つい)にこんなにかけ隔てられてしまったのだ...
魯迅 佐藤春夫訳 「故郷」
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