...机に向つてる男を見おろして、「あんな輕薄な奴、あたい嫌ひぢや!」「おれも嫌ひだが、ね、小學時代の友人でもあるし、いろんな口聽きとして役に立つやうだから――」「そりや自分の勝手やないか――あたい知らん!」そしてまた上から下りて來る女があると、かの女は先づ義雄の女房ではないかと――あれは綿服主義だとか云つていつもきたないなりをしてゐるが、立派さうな風の、若いのを見ると、また、女優ではないかと思つた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...散歩せりその一人々々は異樣なり近づくのが恐いやう年代を經し無慘なる印象その身を包む外套のかげより現はれたりその顏の立派さ...
千家元麿 「自分は見た」
...最後の有様の立派さと云い...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...あなたがたをして礼を正さしむるだけの立派さをもっていなければならんはずのものであります...
夏目漱石 「私の個人主義」
...大にその立派さを発揮するために美辞佳句を連ねて滔々(とうとう)として述べた...
新渡戸稲造 「国際聯盟とは如何なものか」
...瓢々斎の寮の立派さに似ず...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...いつまでも独り者の八五郎の方が立派さ」「その気で付き合って下さい...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...恰幅(かっぷく)の立派さ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あの幼な姿の立派さ...
原民喜 「小さな庭」
...その立派さに對して雌鷄の無彩色なのは...
水野仙子 「白い雌鷄の行方」
...何という人間らしい立派さのちがいだろう...
宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
...今の私の心持は、その発端にあっては大分鼻づらをこすりつけられ的であった勉強のおかげで、世界の大さ、立派さ、業績と称し得るものは(少くとも人類としての規模で)いかなるものであるか大分身にしみて来て居りますから、自分の長所とか短所とかいう風での自身のみかたや扱いかたで自分にかかずらう感情はありません...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そんな場合の人間的な立派さが芸術家の真髄をつらぬくというところにフレッド・アステアの語らんとするものもあるらしく...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...外国の諸儀式のいかめしさ立派さ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...つまり押し出しの立派さ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...音声の立派さと息の強いしっかりしたところは...
山本笑月 「明治世相百話」
...大丈夫だとタカを括(くく)って向き直った態度の立派さには又...
夢野久作 「暗黒公使」
便利!手書き漢字入力検索