...僕は突差の間にあの餅を此人に呉れて荷物を輕くしようと思ひついた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...訳もなき突差の同情を起さしめた...
石川啄木 「鳥影」
...突差(とつさ)の處置(しよち)地震(ぢしん)に出會(であ)つた一瞬間(いつしゆんかん)...
今村明恒 「地震の話」
...東湖(とうこ)は突差(とつさ)に母堂(ぼどう)を屋外(おくがい)へ抛(はう)り出(だ)した瞬間(しゆんかん)...
今村明恒 「地震の話」
...心臓をめがけてグサッと突差し...
江戸川乱歩 「心理試験」
...自分は突差に袂にある僅か七錢の金を手に握つた然うして見え隱れあとをつけた...
千家元麿 「自分は見た」
...子供ながらも突差に感じた怪訝と不安の念とに襲はれて...
永井荷風 「冬の夜がたり」
...男の様子が妙だつたので、突差には、その場のありさまが判然と呑みこめなかつたが、浮袋のわきに、酒場の名前をペンキで書いた、白い板が浮いてゐるのを眼にして、直吉は、なるほど、生きてゐる人間の商売なのかと、吻つとすると同時に、その男の悠々とした、たゞよひかたが、ひどく気に入つた...
林芙美子 「瀑布」
...突差に笑ひかけようとしたが...
林芙美子 「瀑布」
...私は突差に立ち上つて云つたものだ...
平山千代子 「カイダイ」
...突差の気転を働かせて...
牧野信一 「小川の流れ」
...今来られては困る――と村瀬は突差の間で戸惑つた...
牧野信一 「女に臆病な男」
...とても頬などに指先だつて触れることは出来ない――そんなことを三木は突差の間に思ふと...
牧野信一 「ダイアナの馬」
...花束や菓子の箱などに埋れたローラを抱きあげてゐる滝本を中心にして、突差の間に、記念の撮影などして、一行の列車は西へ向つた...
牧野信一 「南風譜」
...訊ねられたら胃の薬なんだ位ひでごまかして仕舞ふ……などゝ私は突差の間に考へた...
牧野信一 「妄想患者」
...突差に私の心の奥が叫ぶ...
水野仙子 「脱殼」
...この二つは突差の用語だからもっと雅馴(がじゅん)なものがあれば改めるが...
柳田國男 「地名の研究」
...私は突差のことなので...
淀野隆三 「横光さんと梶井君」
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