...――」ひどく厭な気がしていた彼は金口を灰に突き刺すが早いか...
芥川龍之介 「お律と子等と」
...自分自身に突き刺すより仕方がなかったのだ...
梅崎春生 「桜島」
...あの部下の兵達の突き刺すような視線であった...
梅崎春生 「日の果て」
...背後から突き刺す男のごたぶんにもれず...
太宰治 「人間失格」
...時々眼底のどこからか鋭い突き刺すような光の射してくる眼差しを眺めながら...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...彼が人々の肌を針で突き刺す時...
谷崎潤一郎 「刺青」
...あれは愛情でした」「愛情を表現するにしては妙なやり方ですね――首をしめた上に剣で突き刺すなんて」とフランボウは批評した...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「とけない問題」
...おれのいつもの陋劣な調子は自分でどうしてもなおすことができないのだ! この手紙は今日になってもなおおれの胸を突き刺すのだ! おまえは今おれが気楽だとでも思うかい...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...突き刺すような感覚があった...
原民喜 「秋日記」
...その刀は今にも金五郎を突き刺すかと思われた...
火野葦平 「花と龍」
...突き刺すやうな疼痛(とうつう)があつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...その突き刺すばかりの響きには...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...しかしここでは太陽と薔薇とがなんと殘酷に私を突き刺すことよ!さうして五月の青い空は私を嘲つてゐる...
堀辰雄 「旅の繪」
...突き刺すようにデトレフの眼を見つめるのであった...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「餓えた人々(習作)」
...突き刺すばかり尖った...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...突き刺すんだと思え...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...かねて用意の女串(めぐし)で突き刺す...
山本周五郎 「青べか物語」
...「おい、図星だろう」と六郎兵衛はたたみかけて云った、「きさまは正直者らしい、酒井邸からここへ来るまでの、することや云うことを聞いていると、正直で一本気だということがよくわかる、だが、正直であればあるほど、なにか隠したり、嘘をついたりすることは不得手だ、ものの云いよう、声の調子にすぐあらわれる、きさまはみやのいどころを知っている筈だ、そうだろう」「私は知らない」と玄四郎は静かに云った、「知らないことは事実だが、いどころを知ることはできるかもしれない」「それが本音だ」「しかし私にはそれは云えない」「酌をしてくれ」と六郎兵衛が云った、「酒のあとを頼む、きさまも飲め」「もうたくさんだ」玄四郎はきっぱりと云った、「私は飲まないし、つきあうだけはつきあった、金は預けておくから独りで飲むがいい、私はこれで帰る」「よし帰れ、帰ってみろ」六郎兵衛は低い声で、突き刺すような、冷酷な調子で云った、「だがこれで縁が切れると思ったら間違いだぞ、きさまは酒井家の待、名も黒田玄四郎と覚えている、おれは毎日でも酒井邸へ押しかけてゆくぞ」玄四郎は唾をのんだ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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