...夜をこめて鶏(とり)の空音(そらね)ははかるとも世に逢坂(おおさか)の関は許さじ魂(たま)の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞするなどという恋歌は四季の分類に入れようとしても入れようがありません...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...麈尾(ほっす)に払う折々の空音(そらね)に...
夏目漱石 「虞美人草」
...耳の底に追ひ切れない彼の車のごろごろと鳴る轍の空音(そらね)を感ずるばかりだつた...
牧野信一 「奇友往来」
...音樂といふものの内の方にはたくさんの女のうつくしさが平常はただの空音となつてゐて...
室生犀星 「帆の世界」
...誓紙を待っているぞ」琴の空音伊東新左衛門が危篤だと聞いたとき...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...ありえぬ空音(くうおん)のように聞えたのである...
吉川英治 「私本太平記」
...落日と共にあらゆる虚空音(こくうおん)も雲の果てに吸い込まれたような一ときだった...
吉川英治 「私本太平記」
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