...が、二葉亭のいうのは恐らくこの意味ではないので、二葉亭は能(よ)く西欧文人の生涯、殊(こと)に露国の真率かつ痛烈なる文人生涯に熟していたが、それ以上に東洋の軽浮な、空虚な、ヴォラプチュアスな、廃頽(はいたい)した文学を能く知りかつその気分に襯染(しんせん)していた...
内田魯庵 「二葉亭四迷」
...こんなものものしい空虚な式につき合わねばならない...
梅崎春生 「狂い凧」
...その高らかな声の中に依然たる空虚な響の籠っているのが隠せなかった...
海野十三 「雷」
...蝙蝠(こうもり)のようにヒラリと空虚な舞台へ飛び出したものがあった...
海野十三 「恐怖の口笛」
...跫音(あしおと)らしいものが空虚な反響(はんきょう)をあげて...
海野十三 「赤外線男」
...空虚な笑声を発し...
太宰治 「新釈諸国噺」
...ポオズはじめから、空虚なくせに、にやにや笑う...
太宰治 「もの思う葦」
...そこにできた空虚な空間が...
寺田寅彦 「柿の種」
...それがなんとも言えないはかない空虚な絶望的なものの象徴のように感ぜられたことを思い出すのである...
寺田寅彦 「B教授の死」
...更に空虚な闇が湛えていた...
豊島与志雄 「二つの途」
...そして空虚な文字が誌されていた...
原民喜 「冬日記」
...セットの組みあがらないテレビのスタジオのような空虚なようすになった...
久生十蘭 「肌色の月」
...それはひどく空虚な...
北條民雄 「道化芝居」
...なんだか得體の知れない空虚な氣持を持てあましながら歸りつつあつた...
堀辰雄 「ルウベンスの僞畫」
...一寸空虚な力を感じたりした...
牧野信一 「鏡地獄」
...そんな空虚な生活をしてゐて...
牧野信一 「妄想患者」
...世間一般が文章の美しさを所謂美辞麗句の空虚な粉飾の中にない事をおのづから知るやうになるにつれて...
水野葉舟 「言文一致」
...ばか丁寧な言葉の美しい連続にすぎない・あの内容空虚な・礼式文ときてはどうにもならない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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