...彼の言葉は空疎で、説得力がなかった...
...彼女の考えは空疎だと感じた...
...空疎な話はしないで、具体的な方法を考えよう...
...彼女は空疎な冗談で皆を笑わせた...
...空疎な批評では問題を解決できない...
...どうもこっちの云い分に空疎な所があるような気がして...
芥川龍之介 「兄貴のような心持」
...實在の中に沈潛する事は徹底的の意味に於いて自己の空疎を救ふ唯一の方法である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...しかもそれが空疎な平和ではない...
有島武郎 「或る女」
...こういう現実味からいうと演劇フィルムは多くははなはだ空疎なものである...
寺田寅彦 「映画時代」
...それは一歩誤れば空疎な言説・科学上の徒らな大言壮語・に堕ちて行く...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...彼の文章が時々空疎であり...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...絢爛ではあるが空疎な作品が生れてくる...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...空疎な遊蕩(ゆうとう)児なども――その色褪(あ)せた反映に身を暖めようとする...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...始終先の方に空疎な期待だけがあってぼんやり時間を過すのだった...
豊島与志雄 「立枯れ」
...そこに思考の力のぬけはてた空疎なところがあった...
豊島与志雄 「立枯れ」
...自然に己(おのれ)なき空疎な感に打たれざるを得ない...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...これはまた北国風な空疎な冷たい声を持つてゐた...
林芙美子 「瑪瑙盤」
...心の秩序を度外視してどのやうに外面の秩序を整へたにしても空疎である...
三木清 「人生論ノート」
...したがってどんな空疎なる立論をも可能にしたことであろうが...
柳田国男 「海上の道」
...空疎なものにしか思えなかった...
山本周五郎 「菊千代抄」
...「甲斐はまえに、すべて事実無根だと云い、いまも同様にしか云えぬという、だが、あのときから今日まで、家中にはいろいろと穏やかならぬ事が起こっている、おれに対する幕府の譴責(けんせき)が、兵部と酒井侯の通謀によって作られたように、この三年間に起こった家中の紛争も、やはり兵部の手で操られ、兵部の望む方向へと動かされている、甲斐がいかに事実無根だと申しても、現にそれが事実としてあらわれていることは否定できまい」「私は酔ったようでございます」と甲斐は盃を置き、両手で顔を押えて、その手を膝(ひざ)におろしながら云った、「酔って申上げることですから、ごきげんに障ったらお許しを願いますが、ただいま仰せられたようなことは、殿が御心痛あそばすべきことではございません、まして、軽がるしく人の名をあげ、臆測に類することをお口に出されることこそ、却って御家の内に不穏の種を蒔(ま)くことになります」「その意見もまえに聞いたぞ」「六十万石の家中となれば人も多く、ことに、強情と我意の強いのはお国ぶりですから、他の藩中とは違って、些細(ささい)なことから紛争が起こりがちです、けれども、いざ御家の大事となれば、いずれも身命を賭(と)して御奉公する覚悟にまぎれはありません」「それは言葉だ、甲斐が当座に云う言葉にすぎない」「私の申上げることをお聞き下さい」「たくさんだ、そんな空疎な、言葉だけのものは聞きたくない」と綱宗は云いきった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...空疎の議論こゑを絶ち...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...しぜん幕府も自己の立場も空疎(くうそ)なものに浮いてしまう...
吉川英治 「私本太平記」
便利!手書き漢字入力検索