...自分は屡孤立を感じ、空漠を感じ、遊離を感ぜずにはゐられない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...彼のうちには多くの空漠(くうばく)たるものが残っていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...無限の時間と空間の空漠たる圧迫の中に...
中井正一 「美学入門」
...海というようなものの空漠性よりは...
中里介山 「大菩薩峠」
...殆(ほと)んど捕(つら)まえ樣(やう)のない空漠(くうばく)なものであつた...
夏目漱石 「門」
...そして日向の砂丘に寢ころびながら、海を見てゐる心の隅に、ある空漠たる、不滿の苛だたしさを感じてくる...
萩原朔太郎 「宿命」
...海を見る心は空漠として味氣がない...
萩原朔太郎 「宿命」
...これは……僕はふと空漠としたものに戸惑つてゐる...
原民喜 「鎮魂歌」
...こんなものを見てすぎて行く僕は空漠たる旅人なのだらうか...
原民喜 「火の子供」
...移転をしてから十五日目――ああ何と云う空漠とした...
松永延造 「職工と微笑」
...その空漠の中にうごめくようななにかを凝視しようとした...
山川方夫 「愛のごとく」
...とにかくこれから空漠たる空のみ絶えず彼の相對として眼に觸れると云ふ豫想からばかりでも...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
...人生五十年、空の美しさだけがやっと分った、後は空空漠漠、――」「今夜の日比谷の講演は、それをやりなさいよ...
横光利一 「旅愁」
...それは私には決して空漠たる願望でない...
吉江喬松 「霧の旅」
...彼等は水平線の空漠たる隅々からさへも現はれて來た...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...ブルターニュの土地は水の空漠たる靜寂の上に引き伸びて...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...國體は空漠として彼方にあるものではない...
吉川英治 「折々の記」
...あたかも他人の家のような空漠が久しぶりの主人をくるんだのみだった...
吉川英治 「私本太平記」
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