...空漠な、遊離せる思想の生活が厭はしいやうに、根柢に横たはる大きい深い者を原動力とせざる實行の生活も亦空しい...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...自分の思想生活の對象は空漠を脱して溌溂として活躍するものとならう...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...此空漠(くうばく)の荒野(あらぬ)には...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...思想は決して飯の菜にさえなり得ない程に空漠たるものである...
辻潤 「錯覚自我説」
...若い女達の前では空漠たる冗長な言葉を発しなければいけないなどと考えてくると私は益々陰鬱になるのであった...
豊島与志雄 「運命のままに」
...甚だ空漠とした芳香みたいなものだったが...
豊島与志雄 「人の国」
...ほとんど捕(つら)まえようのない空漠(くうばく)なものであった...
夏目漱石 「門」
...いかに空漠(くうばく)なる主人でもこの三令嬢が女であるくらいは心得ている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...何か空漠とした天界から小さな箱のなかに振り落されている自分を見出す...
原民喜 「夢と人生」
...たゞ極めて空漠と頭の中が軽かつたので...
牧野信一 「公園へ行く道」
...史觀の問題といふ空漠な問題は...
三木清 「歴史哲學」
...一つの空漠(くうばく)たる世界が作り上げられていて...
室生犀星 「生涯の垣根」
...餘りに空漠(くうばく)であるが...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...なお前代の学徒のような空漠たる仮定説を闘わさずにすむことになったのは...
柳田国男 「海上の道」
...とにかくこれから空漠たる空のみ絶えず彼の相對として眼に觸れると云ふ豫想からばかりでも...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
...彼等は水平線の空漠たる隅々からさへも現はれて來た...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...――この空漠たる彼方の無限の水平線の背後にいたるまで...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...やがて海の巨きな空漠たる中へ掃き落してしまつた‥‥やがて...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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