...暴風の夜にかすかな空明りに照らされた木立を見ていると烈風のかたまりが吹きつける瞬間に樹の葉がことごとく裏返って白っぽく見えるので...
寺田寅彦 「颱風雑俎」
...堆高(うずたか)い沖の方が辛うじて空明りを反映させていた...
徳田秋声 「仮装人物」
...水のうえに仄(ほの)かな空明りが差して...
徳田秋声 「縮図」
...老夫婦が力の限り根(こん)限り叫ぶ声は徒(いたずら)に空明(くうめい)に散ってしまって...
徳冨蘆花 「漁師の娘」
...十人前の椅子のうち八つは空明きになって...
中里介山 「大菩薩峠」
...空明になつた足へつけ込んで引張られるので...
長塚節 「撃劍興行」
...ほのかな空明りを受けて...
久生十蘭 「白雪姫」
...窓ガラスの爆風除けの紙だけが空明りの反射でほの白く浮きあがっている...
久生十蘭 「だいこん」
...雨後のほのかな空明りのほかなにも見えなかった...
久生十蘭 「ノア」
...むこうのケースメントの硝子の面(めん)に夜明けのような空明りがうつり...
久生十蘭 「雪間」
...ほのかに空明をひたして...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...葦の茂りでほとんど沼であるやうな空明りも...
室生犀星 「命」
...空明りの射して来るまで彼は呼吸を忍ばせた...
横光利一 「旅愁」
...空明りによくよく見ると...
吉川英治 「江戸三国志」
...陣幕(とばり)の上にうすらいで来た空明りへ顔を上げた...
吉川英治 「私本太平記」
...朧夜(おぼろよ)ほどの空明りもないが...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...だらりと髷(まげ)の上からくるんでいる横顔が空明りのせいかくッきりと白い...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...青い月かと思うような空明りが映(さ)す...
吉川英治 「源頼朝」
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