...そうしてついに空しくなった...
芥川龍之介 「或敵打の話」
...空しく屈してゐた彼の自由な精神が...
芥川龍之介 「枯野抄」
...貴とき生命を空しく無用の努力に費やし去る...
石川啄木 「閑天地」
...空しく當年繁昌の跡を殘して...
大町桂月 「南洲留魂祠」
...かれらは繩をどんどん繰り出して自分たちの不可思議を受け入れうる真に無限な能力を空しく測りつつあったからである...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...宙で空しくもがいているような私を救ってくれるのは...
高見順 「如何なる星の下に」
...空しく飛びてその穗先ゆらぎ大地に突きさゝる...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...空しく海峽の藻屑としてしまふのは忍びない...
長谷川時雨 「傘」
...馴(な)れぬ士族の商法に財産も空しくして故山に帰(か)えった...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...二年前即ち一八九五年の八月にブノンスで行われた殺人事件の犯人を極力捜査して空しく手をひいた人である...
浜尾四郎 「殺人狂の話」
...しかるに今は神池空しく涸(か)れて鰻跡を絶った由...
南方熊楠 「十二支考」
...何のために毎日を更に重ねんとはする?明日もまた昨日のごとく空しく消ゆべきに...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それからも空しく一月あまりの日を...
吉川英治 「江戸三国志」
...ふたたびはない若い日を空しく見送っているのですか...
吉川英治 「剣の四君子」
...はやく空しく帰ってくれればよいが』朝飯も食べずに...
吉川英治 「死んだ千鳥」
...今その家を訪ねて空しく戻って来た途中だという...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...理由は――今や、南海方面には、伊予の純友一類の海賊が、頻々と乱を起しており、また、坂東平野には、将門の伴類(ばんるい)が、四隣を騒がせている折から、この上、武蔵に事端をひき起しては――という堂上たちの、消極的な考えだろうと思われます」「いや、事実、南海の賊は、年々、猛威を逞(たくま)しゅうしていますからな」「……といって、われわれ両名が、官の辞令を持ちながら、空しく、都へ帰れましょうか」「何とか、足立武芝と、そこの折り合いは、つかぬものか」「それもずいぶん、辞を低うして、試みましたが、府中の国庁へ参っても、兵を以て、われわれを拒み、一歩も入れないのですから、妥協のしようもありません...
吉川英治 「平の将門」
...空しく待っているのも智慧がないので...
吉川英治 「宮本武蔵」
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