...いつの間に稼いだんですと云い/\...
谷崎潤一郎 「三人法師」
...十二時近く水窪町へ着く、さびしい街だ、ここで酒屋の若主人から、これからは難路であることを教へられ、逆に電鉄のある方――天龍本流へ戻ることにした、やかまし食堂といふ家で、大豆腐一丁(何と大きな豆腐であつたよ)、酒一本、飯一碗を詰めこんだ、そしてむつかしい、あぶない峠を登りはじめた、間もなく雨が降りだした、やうやく登りつくして、いそいで下る途中で雷雨にたゝかれた、白神(シラナミ)駅に辿りついた時は五時を過ぎてゐた(二里あまりに五時間を費したのだ)、駅といつても駅員はゐない、粗末な小屋があるばかりである、それでも乗る人はあつて数人あつまつた、椎茸買出商人、出稼人、山住神社参詣人、等々で、みんな親しく賑やかに話し合ふ、私は言葉がよく通じないことを残念に思うた、発電所に落雷したとかで停電、電車がおくれて、最も近くて宿屋がある駅といふ満島へ下車して、T屋に落ちついた時は七時半、山峡は早くもとつぷり暮れてゐた、途中は苦しかつたけれど、風景は申分なかつた、殊に峠を下りつゝ、天龍を見はるかす山のすがたは何ともいへなかつた、絶景絶叫だつた...
種田山頭火 「旅日記」
...だから日によっては稼(あが)り高が五ルーブルにもなることがありました...
チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「女房ども」
...それに息子もやはり少しくらいは稼ぐのです...
チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「女房ども」
...身を粉にして働きながら餓死しないだけのものを稼ぎ出さんとし...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...とても自ら稼いで研究資材を集めるようなことはできない...
長岡半太郎 「ノーベル小傳とノーベル賞」
...稼(かせ)ぎに使おうというんだろう...
中里介山 「大菩薩峠」
...千ポンド稼げないなんてあり得ない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...まさかあ!辰造 それなんだ! 食ふものも食はないで稼ぐ奴だ...
三好十郎 「地熱」
...「それじゃあ済まない、あたしが宇之さんに済まないわ」「泣いちゃあいけねえ、いま泣くんじゃあねえおけいちゃん」宇之吉は歯をくいしばった声で云った、「泣くのはもっとさきのことだ、いつかそういう日がきて、二人が晴れて一緒になれたらだ、……それまでは泣くのはよそう、おれも強くなる、精いっぱい稼ぐ、そして何年でも待っているぜ、いいなおけいちゃん」「そんな、そんなことを云えば」おけいはいやいやをしながら咽(むせ)びあげた...
山本周五郎 「追いついた夢」
...その日その日の稼ぎに追われる生活では...
山本周五郎 「橋の下」
...やっぱり芸を覚えて稼(かせ)いでもらわなくちゃならないからねえ」「そんなこと覚悟のうえよ」おちづは向き直って...
山本周五郎 「風流太平記」
...それまでと少しも変らず黙ってよく稼いでいた...
山本周五郎 「柳橋物語」
...立場(たてば)稼ぎの冥利(みょうり)につきる...
吉川英治 「江戸三国志」
...「まだ今朝からやッと二両二分の稼ぎ...
吉川英治 「剣難女難」
...おめえたちのしがねえ夜稼(よかせ)ぎの小銭(こぜに)まで搾(しぼ)り奪(と)ろうとしている悪どい野郎のほうだった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...稼ぎ蓄(た)めた五穀やら...
吉川英治 「宮本武蔵」
...オランプの稼ぐ金で...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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