...今から四十年前に小説復刻の元祖たる南伝馬町(てんまちょう)の稗史(はいし)出版社に続いて馬琴の『俊寛僧都(しゅんかんそうず)島物語』や風来(ふうらい)の『六々部集』を覆刻したので読書界に知られた印刷所であった...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...姓は稗田(ひえだ)...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...稗田の阿禮が讀むところの天武天皇の仰せの本辭を記し定めて獻上せよと仰せられましたので...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...近年随二落シテ乎稗史院本之泥中ニ一汚二塗シテ姓名ヲ一遂ニ不レ能脱スルコト二其ノ窟ヲ一...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...陸稲(おかぼ)や黍(きび)、稗(ひえ)、大豆の中耕(ちゅうこう)もしなければならぬ...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...博文館が帝国文庫という総称の下に江戸時代の稗史(はいし)小説の復刻をなし始めたのはその頃からであろう...
永井荷風 「十六、七のころ」
...御嶽より松島村に下る途上稗の穗に淋しき谷をすぎくればおり居る雲の峰離れゆく霧のごと雨ふりくればほのかなる谷の茂りに白き花何鵯の朝鳴く山の栗の木の梢静に雲のさわたる韮崎走り穗の白き秋田をゆきすぎて釜なし川は見るに遙かなり甲斐に入りてより四日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...中には菫か雀(すずめ)の稗(ひえ)か分らぬようなものもある...
中谷宇吉郎 「科学と文化」
...認識された病気は、結膜炎――主症状は、発赤、腫脹、分泌、であって、それぞれ独立に治療される――炎症性角膜混濁、角膜の膿瘍、流涙症、縮瞳症、白斑症、眼瞼の斑状出血、斜視、稗粒腫、結膜浮腫、眼瞼下垂、逆さまつげ、など...
マクス・ノイバーガー Max Neuburger 水上茂樹訳 「医学の歴史」
...南部領、盛岡の城下から東南、南部米の米所で作毛三分二厘五毛、西の方、山つづきの場所は青立(あおだち)も見られず、七戸以北、北郡一帯は稗、粟もない...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...かへつて幼時一読せし稗史(はいし)小説の永く忘られざるにても知るべし...
正岡子規 「病牀譫語」
...岩手県北部の諸郡でそれを稗のことだといい...
柳田國男 「食料名彙」
...やや苅りごろに近く黒ずんだ陸稗の畑からも抽(ぬ)け出ていた...
柳田国男 「雪国の春」
...然もその稗は田のほうへいったとき百姓が抜き捨てたものを拾い集めて来て...
山本周五郎 「日本婦道記」
...その飯は麦六、稗(ひえ)二、もろこし一、米一の割だそうである...
山本周五郎 「半之助祝言」
...この子四ツじゃに糠(ぬか)より軽い軽いはずだよ稗糧(ひえか)と夫婦の坊子(ぼこ)じゃもの坊子(ぼこ)にゃ出ぬ乳も運上にゃしぼる藁で髪ゆい...
吉川英治 「脚」
...男とも女ともつかぬ風態をした人たちが大きな竈に火を焚いてせつせと稗を蒸してゐた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...そして家ごとに稗を蒸していた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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